カカイル小説

□古今東西
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 本日の第七班の任務は、とある大きなお屋敷の草むしり。こんな暑い夏に何故草むしり?と文句をいいたくなるが、夏に草木が伸びてしまうから仕方がない。
さらに悪条件で、珍しい花が所々に栽培されている大事な庭らしく、術を使うことは禁じられていた。なのでひたすらの手作業……。
それでも本当だったら午前中の涼しい時間帯に終わっているはずが、どこぞの遅刻魔のおかげで炎天下での作業となってしまったのだった。

 しゃがみ込み無言で草をむしる小さい影三つと大きい影一つ。みんな暑さではっきり言ってダラけていた。

 あーこれじゃあダメだあね。

「はいはーい、みんなスピードアップして。いつまでたっても終わらないよー」
『誰のせいだと思っている!!』
示し合わせたように同時に叫ぶ子供たち。

 ま、オレのせいだよね?

 さすがにこのままでは効率が悪く、先が見えない。
ヤル気を出させ早く任務を終わらせるにはどうしたらいいのか?
ふむ、と遅刻魔のカカシは思案する。

 良いアイデアが浮かんだのか、よいしょっと立ち上がり、リズミカルに両手を叩き出した。

「古今東西ゲ〜ム。イルカ先生の魅力ぅ〜♪」

 三人は顔を見合わせた。

 またおかしな事をするつもりだよ……。
サスケはしかめっ面をする。
サクラはため息をついた。
ナルトだけが意味が分からずキョトンとしていた。
この上忍師、腕は確かなんだろうけど、顔を隠しているだけでも十分なのに、やる事なす事全てが怪しかった。

「ルールは至って簡単でーす。イルカ先生の魅力を順番に言っていく。言えなくなったヤツはみんなにラーメンを奢るってのはどう? 早く任務を終わらせ一楽にGOだ」
「えっホント?! よっしゃーやるってばよ!」
一番最初にヤル気を出したのは一楽で釣られたナルトだった。

「えー! 暑いんだから遊んでないで早く任務終わらせましょうよー!」
サクラはブーブー文句を垂れる。
「サクラ、一楽の新メニュー“コラーゲン入りお肌プルプルになっちゃいますラーメン”ってのが、今くノ一のお姉さまがたに人気らしいぞ」
「やる」

「ふん、くだらない」
吐き捨てるように言い、草むしりを再開させたのはサスケ。そんなサスケにカカシはのんびりと言い放つ。
「あー別にやめてもいいよ。どうせ勝てない勝負なら最初から挑まない方が賢明だよね。天才のサ・ス・ケ・く・ん?」
サスケの動きがピタッと止まる。
「ちっ、やってやる。うちはをなめんな」

 ホントこいつらって分っかりやす〜い。

 さすが上忍師。既に教え子たちの性分は把握していた。


 カカシは負ける気がしなかった。いくら部下たちが自分より長くイルカと付き合っていようとだ。
だってイルカは恋人だ。魅力は自分が一番よく知っている。
別にラーメンを奢るのは構わないが、イルカを賭けた(?)勝負に負けるわけにはいかない。

 おまえらごめんよ、これも修行だ。先生は容赦なく勝ちに行く!!



 庭にある一番大きな木の木陰に集まり輪になって腰をおろした。  

「では、始めまーす。古今東西イルカ先生の魅力〜♪」(パンパン♪)
「メチャ怒る」(パンパン♪)
トップバッターはナルトだった。

 ん? それって魅力なの?

「えーーーーカカシ先生知らねぇーの? イルカ先生はメッチャ恐い顔で怒りまくった後にギュッと抱きしめてくるんだぞ。そのギャップってゆーの? そこがたまんないんだってばよ」
その場を思い出したのかナルトはニシシと笑う。

 知らなかった。まだ出来立てホヤホヤのカップルだ。大人なんだからする事はしているけれど、愛する恋人をそれ程怒らせたことはまだない。

 お次はサスケ。(パンパン♪)
「頭の尻尾」(パンパン♪)

 え?しっぽ?

「結んだ髪。犬みたいでかわいい」

 ……おまえ結構分かっているねぇ。

 意外とレベル高くない? 『笑顔』とか『優しい』とかそんな答えじゃ上忍として下忍に負けている気がした。
よし! と自信満々でカカシは勝負に挑む。

(パンパン♪)
「小麦色の肌」(パンパン♪)
ごめんなぁ、お子さまがこの魅力を分かるにはちよーっと早かったかなぁ?ふふふ、と一人悦に入っていると、
分かるうーーナルトとサスケ、二人が同意した。

 ……なん、だと?

「オレは色白だからな、あの健康的な肌には憧れる。あんたもそうなんだろ? 袖をまくって普段見せない腕を出した時なんてドキッとするよな」
サスケ……こいつ、出来る。そして、いつになく多弁だ。

 いちいちコメントを挟むためブチブチ途切れてリズムに全く乗れていない。こんなの古今東西ゲームか?
この流れ。サクラは嫌な予感がした。いや、嫌な予感しかしない。

「はいっ! 次は誰? ナルト? 早くしてっ」
ちょっとムッとする大人げない上忍師。
「オッス!」
敬礼のポーズをして気合いを入れる。

(パンパン♪)
「脇をくすぐると腰を抜かす(超早口)」(パンパン♪)

 なぁにぃぃ?! おまえ何でそんな事知ってんの??
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