カカイル小説

□古今東西
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「一緒に風呂入った時にイタズラしたら、両足開いてすんげー尻餅ついてさぁ。しばらく動けなくなったってばよ。笑ったー」
「ああ、アカデミーの合宿の時か」
サスケも思い出して吹き出した。
「そうそう。そのままみんな風呂を出ようとしたら先生目をウルウルさせちゃって、オレをおいていくな〜って。ガキみたいで可愛かったー」
「あの人らしいよな」

 なに、その放置プレイ。いや待て両足全開おっぴろげ?? 想像するだけで鼻血が出そうだ。
……恐るべしアカデミー生!!

 もはや“魅力”古今東西でも何でもないような気もするが、ツッコむ者が誰もいない。

 カカシは自分が知らないイルカの、あ〜んな事やこ〜んな事を部下の口から聞く度に、嫉妬の炎をメラメラと燃やした。

(パンパン♪)
「汗の匂いがいい」(パンパン♪)
 
 ぬおぉぉ、サスケーーーー! 何言ってんだおまえーー!!

「お日さまの匂いがするんだよな」
ナルトも乗っかってくる。
「ケガしたオレを抱きかかえ慌てて医務室に走った時、鼻をかすめた襟元から汗の香りがしたんだ。先生必死に走っているから心臓の音がドクドク早くなって。それがオレの為だと思うと、な」
サスケはポエムを朗読するかのように語りだす。

 今日のおまえは一体誰だ??

「オレもオレも。その匂いをかきたくて何回もワザとケガしたー」
「ふっ、抱っこされるためには足狙いだろ?」
「そうそう。こんな事できるのは子供だけの特権だってばよぉ」
『イエーイ♪』
パチンと二人は高く右手を鳴らした。

 わなわなと震えるカカシを横目で見やり、サスケは挑発するように口を開いた。

「まさかとは思うが、イルカ先生の事でオレらに負けたりなんかしないよな。上忍のカカシ・セ・ン・セ?」

 なんなんだ、なんなんだ!!
イルカ先生はオレのモンだ! おまえらには負けん!!

 カカシの上忍として、いや大人として限りなく残されていた理性の糸がプッツンと切れた。
カカシは立ち上がる!もう今さらどうでもいいルールの手拍子だけは忘れない。

(パンパン♪)
「イルカ先生のなぁ! イルカ先生のオシリ……ぶほっ!!!」

 その時もの凄い衝撃がカカシを襲った。
グーパンされキレイな弧を描くように空高く吹っ飛ぶ木の葉のエリート忍者、写輪眼のカカシ!!
 
「カカシ先生ーーーー!! あんた何やってんすかぁーーー! 任務はどうしたあ?!」
そこには猛ダッシュして肩で息をするイルカが、鬼の形相で立っていた。

 序盤から嫌な予感しかしなかったサクラはこっそり抜け出し、アカデミーにいるイルカにチクリに行っていたのだった。
部下の脱走にも気づかないほど追い詰められていたのか、里の誉れ?!




「おまえらー好きなモノ頼んでいいぞー」
「だからイルカ先生好きっ」
一楽のカウンターで隣に座っていたサクラが、両手をイルカの腕に絡めて抱きついた。もちろん注文の品は“コラーゲン入りお肌プルプルになっちゃいますラーメン”だ。
「テウチさん、支払いは“はたけカカシ上忍”(棒)って方のツケでお願いします」
「え? カカシさんいないみたい……」
こちらを見たイルカの顔は笑ってはいるが、目は恐ろしいほど据わっていた。テウチは何かを察しそれ以上は口を閉じる事にした。

 唯一見えている右目さえ、イルカの右ストレートが綺麗にヒットしたため膨れ上がって原型を留めてはいなかった。そんなカカシの顔を思い出し、不憫に思ったナルトが隣に座るサスケに話しかけた。
「なあなあ。カカシ先生、もう顔が何も見えなかったな」
「ふん。自業自得だ」
「でもさーイルカ先生もあんなに怒らなくてもいいのに……ちょっと可哀相だってばよ」
どうせナルトの事だ。ゲーム中のカカシの態度を見ても、二人が付き合ってるって気付いちゃいないのだろう。
カカシを心配するナルトにサスケはヤレヤレと教えてやる。
「“メッチャ怒る”がイルカ先生の魅力なんだろ? だったらいいじゃねぇか」



 時を同じくして。すでに夕暮れになった広い庭に、独りで草むしりをするうなだれた銀髪頭が覗いていた。
プチプチむしりながらここにはいない恋人を想う。

 イルカ先生をメッチャ怒らせてしまった。でも怒って怒って怒った後に、ギューーーーッと抱きしめてくれるんですよね? そうですよね、イルカ先生。

 そんな願いが叶うことを夢みながら……。




終わり


サスケの「カカシ」呼び、好きです。二人の話も書いてみたいな。イタチ兄さん絡めてw
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