短編集

□鳩
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ある昼下がりの公園。空は生憎の曇り模様。そんな天気も手伝ってか、人もあまり見当たらず。

「はぁ……」

どこからか溜め息が一つ聞こえてくる。この曇天にそぐう音色といえば聞こえは良いか。
公園内のベンチに一人の青年が腰掛けている。虚ろな表情で虚空を見つめるその姿。彼の心模様は、この空とリンクしているのだろうか。

「……鳩、か。」

一匹の鳩が青年の隣に降り立つ。暫く虚空にあった青年の目線はその鳩へと移される。

「良いよな、お前は。毎日気楽そうで。」

ポツリと、青年は呟く。その瞳の色は先程から変わらず。ただただ、虚ろな表情で鳩を眺める。

「…………」

大きな欠伸を、一つ。気持ちよさからか、疲れからか。恐らく、後者であろう。一体何があったのであろうか、この青年に。
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