しょーと

□過去拍手
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忘れない。


初めて見たあんなに綺麗な夕日の色。


初めて見たあなたの笑顔。




明日また会えたらいいのにな






その日は補習で遅くまで学校に残っていた。


遅くまでと言っても夕方までだが。


帰宅部のあたしにとってこんな時間に帰るのは初めてのことだった。


帰る途中にある河原。


そこから見えたのは橙色の綺麗な夕日。


「「綺麗だなぁ・・・」」


「!」


誰かと声が重なったのに驚いて、声のした方を振り返る。


「あ・・・」


そこにいたのは同い年くらいの男の子。


声が重なったのに驚いたのか、あたしが振り返ったのに驚いたのか。


困ったような表情をして、


「綺麗だよね、夕日。」


と一言。


「そうですね・・・」


しばらく夕日をながめていると、


「見るの初めて?」


と聞かれた。


「はい。」


「そっか、雨とか降ってなかったら毎日見れるよ。」


そうなんだ。


こんなに綺麗な夕日を見ないで過ごしてたなんて、損していたかもしれない。


夕日が見れるなら補習も悪くない。


初めての補習。


初めて見たこの夕日。


初めて会ったあなた。


初めてづくしの今日。


「おーい、山崎! 早くしろ!」


「あ、はーい! じゃ、またね!」


にこりと笑ったその顔は、夕日色に染まってた。


・・・明日も補習にしてもらおう。




明日また会えたらいいのにな




(この夕日の色とあなたの笑顔は忘れられそうにありません。)





あの子に偶然会えるなんて・・・運命!?






元からヒロインを好きだった山崎















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