A tale of Erebor

□一章、束の間の安息地
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トーリン一行はワーグとオークたちの追跡から逃れることが出来ず、立ち往生していた。ビルボが偵察へ向かったものの、周りはオークだらけだという好ましくない報告だけがもたらされる。そこでガンダルフはあることを提案した。
「この近くに頼りになるやつが住んでおる。そやつの家にはまじないがかかっておる故、オーク共もそこまでは入ってこれん」
「なるほど。でも、このままじゃ見つかるわ」
恐らく今動けば間違いなくアゾグたちに捕まってしまう。ネルファンディアとトーリンたちもそのことは承知だった。結局、トーリンは一行を2人ずつのグループに分けることにし、木々の隙間を縫って移動することにした。ネルファンディアはトーリンとペアを組み、最後に行動を始めた。
「大丈夫か、ネルファンディア」
「ええ、ただ奴らはあなたがいないことをわかっていて動いていないのかも」
「そうだったとしても、そなたと私だ。何とかなろう」
二人はいかなる音も聞き逃さないように集中して移動した。そして、ついに視界に例の家が飛び込んできた。だがアゾグは狡猾で、その時を見逃さなかった。彼は不意打ちでネルファンディアとトーリンを既に部下で囲んでいたのだ。ワーグたちの荒い息が聞こえてきたのでトーリンはオルクリストを抜いた。ネルファンディアも剣と杖を構えたが、二人は既に囲まれていることに気づいていた。
「………困ったな、ネルファンディア」
「ええ、すごく"いい状況"ね」
「またお会いできたな、守護者殿。だがここでその役目も終わりだ」
アゾグがネルファンディアたちの目の前に姿を表した。トーリンはあのときの約束を破るまいと彼女を背中で庇うように立った。
「彼女には貴様の穢れた指一本触れさせん」
「トーリン………」
「威勢のいいことだ。仲睦まじく共に死ぬがよい!」
アゾグが部下をけしかけようとした時だった。突然おおきな熊が茂みから現れた。ネルファンディアはとんでもなくでかいその熊を見てトーリンに笑いながら話した。
「ビヨルンさんだよ、トーリン!」
「ビヨルンさん?誰だそれ、熊か?」
「まぁ、熊かな」
二人は静かにその場から立ち去ると、ガンダルフたちの待つ家に到着した。
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