夢小説

□第4章
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ナルサスを説得し、何とか仲間に迎え入れる事が出来たダリューンとアルスラーン。さて、これからどうしようか話し合おうとしたところで割って入ったのがあの兄妹。

「お待ち下さい!」
エラムとアッシリアの揃った声に、3人は顔を向ける。
「当然、私も連れて行っていただけるのでしょう?」
そんなエラムの言葉に同意を示すように、隣で何度もコクコクと頷くアッシリア。2人とも、置いていかれることなど全く想像していなさそうな表情を浮かべている。

しかし、ナルサスは非情にも『ギラン』にいる彼の知人に2人を預けるつもりであったことを告げた。
「そいつは商船主でな。もしルシタニアが侵攻して来ても海上に逃げられるし、さらに異国に渡ることもできる」
どんどんと話が嫌な方向に向かっていっているぞ、とナルサスの話を聞きながらアッシリアは眉間に皺を寄せた。それは置いていかれるかも、といった心配からであったが、対して、隣にいるエラムは心配とは別に、明らかに不服や不満から同じように眉間に皺をギュッと寄せていた。
「手紙をしたためておく。旅費と生活費も渡しておくから、そこへ行「いやでございます!」
ナルサスが今後のことを説明していたのだが耐え切れなくなったのか、遂にエラムが彼の言葉を大きな声で遮り、更にその声量のまま続ける。
「このエラム!ナルサス様には一生かけても足りぬほどの大恩がございます!そしてそれはアッシリアも同じ!これからもお供をさせてください!」
それに続けてアッシリアも口を開く。
「そ…っ、そうです!兄様の仰る通りにございます!微々たるものではありますが尽力させて頂きますので、どうかお傍に居させてくださいませ!」
兄妹の熱心な訴えに思わず狼狽えるナルサス。
2人のその姿は、今にも捨てられそうな仔犬にも重なるようで、ナルサスはそれ以上何も言えなくなってしまう。
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