StoryA
□Perfectly Perfect
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『きゃあっ!』
ここは地下牢教室。チヒロの悲鳴と同時にボンッと大きな爆発音が響き、調合途中の生徒はみんなため息をついた。
「また君か、Ms.マットロック」
『ご、ごめんなさい!』
「アルマジロの胆汁は少量で良いと言ったであろう、君の耳は飾り物か何かかね?グリフィンドール10点減点」
スネイプが杖を振って鍋の中身を全て消すと、チヒロはしゅんと肩を落とした。
けれど、彼女を励まそうとする生徒は一人もいない。仲良しの友達でさえ、このときばかりはため息をつくのみだ。
なぜならこれはお決まりの光景で、彼女は授業の度に爆発させては減点を重ねていたからだ。
「あちゃー、あの子またやっちゃったよ」
「これだけはいつもダメだよなぁ、ほかの教科はよく出来てるみたいなのに」
「おい相棒、ほんとにあの子が好きなのか?」
フレッドとリーの視線の先にいるのは既に調合を終えたジョージで、彼はじっとチヒロを見つめていた。
「あぁ、好きだよ」
「話したことはあるのか?」
「それは‥‥‥ない、けど」
「おいおい、じゃあなんでだよ?あんなに減点されまくってるんだぞ」
「確かによく減点されてるけど、チヒロが俺たちグリフィンドールの足を引っ張ったことはないさ」
フレッドとリーがジョージの言葉の意味を計りかねて顔を見合わせたとき、ちょうど授業が終わった。
ジョージは一言「みんなはチヒロのことを分かってないんだ」と言い残すと、先に教室を出て行ったチヒロを慌てて追いかけた。
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