StoryA

□Deep Inside
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〈 George side 〉




『んっ、あぁっ、ジョージ、わたし、もう‥‥おかしく、なっちゃ‥‥っ』

「いいよ、おかしくなって‥‥ほら、イって」

『ひあっ、ゃ、ああぁ‥‥っ!』




ガバッと飛び起きると、自分のベッドの上だった。もちろん隣にチヒロはいない。なんて夢を見てるんだ俺は。

おかしな寝言を口走ってなかったかと気になったけど、フレッドもリーもまだぐっすり眠っているみたいだった。

バクバクと脈打つ胸を押さえながら、夢で見たチヒロの姿を思い出して罪悪感に苛まれる。こんな夢を見たあとに、どんな顔でチヒロに会えばいいんだ。

時計を見るとなんとまだ夜中の2時だったけど、すっかり目が冴えてしまったし、なんとなく部屋に居づらいから、談話室に下りていくことにした。











「‥‥チヒロ?」




誰かの頭が見えたからソファの前に回り込むと、教科書を抱えたまま寝息を立てるチヒロがいた。きっと遅くまで試験勉強を頑張って、そのまま眠ってしまったんだろう。

一瞬ドキッとしたけど、慌てて頭を振ってチヒロの肩を優しく揺さぶる。




「起きて、チヒロ。こんなところで寝てたら風邪引いちゃうぞ」

『‥‥ん、やぁ、』

「‥‥っ!」




ついさっき振り払ったはずの、チヒロのあられもない姿がフラッシュバックした。

いやいやチヒロは顔をしかめて俺の手を払いのけただけだ、起こすなと言ってるだけだ、断じてそういう声じゃない、落ち着け俺。

とりあえずアクシオで俺のローブを引き寄せて、全く起きる気配のないチヒロにかけてやる。




「‥‥‥最低だよな、俺。チヒロのこと大事にしたいとか言っておきながら、あんな夢を見るなんてさ」




床に腰を下ろして、チヒロのあどけない寝顔を覗き込んで呟いた。そう、俺たちはまだそういう行為はしていない。チヒロに怖い思いはさせたくないし、そんなことをしなくても隣にいてくれるだけで十分幸せだと思ってたから。

でも、そんなの綺麗事だったんだ。きっと心の奥底では、俺はどうしようもなくチヒロを欲してる。




「チヒロ、俺が君を抱きたいって言ったら‥‥‥君は幻滅するかい?」

『‥‥‥‥‥‥いいよ、抱いて』

「え、」




独り言のつもりだったのに、チヒロはいつから起きていたのか、俺をまっすぐ見つめていた。

そっと手を握られて、目覚めたときみたいに心臓がまたバクバクと音を鳴らし始めた。




「‥‥‥起きてたのかい?」

『ついさっき目が覚めたの。それより、ジョージ‥‥‥‥いいよ、私のこと抱いても』

「抱くって、ちゃんと意味をわかって言ってるのかい?ただ抱きしめるのとはわけが違うんだ、俺はチヒロを、」

『めちゃくちゃにして。ジョージになら、何されてもいいから』




俺は今初めて、理性が崩れる音というものを聞いた気がする。大好きな子にそんな風に言われて、抑えられるわけがないだろう。




「‥‥どうなっても知らないから」




窓の外はまだ暗い。

2人きりの談話室には、時折こぼれるチヒロの甘い声と、ソファの軋む音だけが密かに響き渡っていた。





end

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