はたけ家族の物語

□発覚
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発覚

「カカシ先生、そろそろ起きろよー」
「んん、おはよ、、ナルト」
「ん」

朝起きて、先生は必ず俺に触れるだけのキスをする。
それは結婚してから1年経つけど、必ず毎日する、おはようのキス。

「顔洗ってさっぱりしてこいってば先生、朝ごはん出来てっから」
「はーい」
「まったく、子供みたいだってば」

大戦から1年ほど経ち、カカシ先生は6代目火影となり毎日忙しそうに働いている。
俺が火影になった時、少しでもいい世の中になっていて欲しいからというカカシ先生は、目の下にクマをつくりながら働いてくれている。
俺のため、というのは嬉しいけど、たまにはちゃんと休んで欲しいってば。
それでも、どんなに忙しくてもだいたい毎日家に帰ってきてくれる先生。
俺はそんな先生のサポートを全力でするべく、家事と任務をこなしている。

「あ、そうだナルト」
「なんだってば?」

顔を洗って来た先生に呼ばれる。
なんか用事なんかな?あ、任務かな?

「今日、綱手様が帰ってくるらしいぞ」
「え!ほんとだってば!」

綱手のばぁちゃんはカカシ先生に火影を受け渡した後、隠居生活を楽しむべく日々色々な所へ旅行している。
今回ばぁちゃんに会うのは3ヶ月ぶりくらいで、楽しみだってばよ!

「だから今日はお前任務ナシね、綱手様もナルトに会いたがってたしゆっくりするといいよ」
「ありがと先生!」
「うん、さっ!朝ごはん食べよう、せっかくナルトが作ってくれたのに冷めちゃうからね」
「今ごはん持ってくるってばよ」

しゃもじとお茶碗を手に取り、炊飯器を開ける。
俺は炊きたてのごはんの匂い大好きで、この瞬間がいつもちょっとした楽しみなんだってば。
しかし、炊飯器を開けると…。

「うっ…!?」

ガチャン!
とんでもない吐き気がして思わず手を離してしまったお茶碗は床に落として割れてしまった。
驚いた先生は慌てて駆け寄ってくる。

「大丈夫かナルト!?どうした、具合悪いでも悪いのか?」
「い、いや、急に気持ち悪くなって…」
「俺がやるからナルトは座って休んでな」
「ごめん先生…」

なんだろうあの感覚。
いつも通りのごはんの匂い。
でもそれが、すごい嫌なにおいに感じた。
なんていうか、身体が拒絶する感じ。
その後先生が持ってきてくれたごはんは普通に食べることができた。
先生は心配しながらも仕事へ行く。
俺は見送るため玄関まで行く。
これも結婚してから毎日のこと。

「じゃあ、行くけど本当に大丈夫?」
「もう平気だってば!朝ごはんも食べられたし、今日は任務もないから!」
「ならいいケド…何かあったら連絡しろよ?念の為綱手様に相談してみな」
「大丈夫だって!っと、…先生?」

突然抱きしめられる。
ぎゅうっと力強く抱きしめられて、少し驚いた。

「心配なんだよ…。お前、こういうことあんまりなかったし、何かあったら」
「先生…」

こんなふうな先生はあまり見たことがない。
俺ってば、それだけ愛されてるんだなーって、嬉しくなっちまった。
先生の背中に手を回し、安心させるよう撫でる。
次第に先生の力は緩み、俺をじっと見る。

「なんだってばよ?」
「キスしてよ」
「ふぇっ!?」
「イイじゃない、いってらっしゃいのキス」
「も、もう、しょーがねぇな!」

朝と同じように、触れるだけのキスをする。
結婚して1年経った今でも、恥ずかしいってばよ。

「ほっ、ほら!もう行かなきゃ遅れるってばよ!」
「ん、ありがとうナルト、いってきます」
「いってらっしゃい!」

こうして毎日先生を見送る。
それから家事をこなして、しばらくするとインターホンが鳴った。

「ナルト!久しぶりだな!」
「ばぁちゃん!さっ、あがれってばよ!」

両手いっぱいの荷物は、俺たちへの土産だと言って渡された。
中にはカカシ先生が好きそうなお酒や、ツマミ。俺へのお菓子やちょっとした小物など、こうして毎回大量にお土産を持ってくる。

「お茶入れてくるってばよ」

お土産の中に入っていた上等の緑茶。
これはきっといい香りがするだろう。
急須に茶葉を入れ、お湯を注ぐ。

「んっ!?」

また、吐き気がした。
さっきよりは弱いけど、お腹がぐるぐると気持ち悪い。
ばぁちゃんはそんな俺に気付いたのか心配そうに俺の背をさする。

「どうしたんだナルト?変なものでも食べたのか?」
「そんなんじゃねえよばぁちゃん、でも今日やっぱり俺おかしいのかな…。朝もごはんの匂い嗅いだらすっげえ吐き気してさ」
「うむ、念の為診てみよう。横になれ」

言われた通りソファに横になり、腹をまくり、ばぁちゃんは手を当て、異常がないか探る。
しばらく手を当てていたばぁちゃんは突然動きを止め、焦ったような顔をしていた。

「ナルト…」
「なっ、なんだよばぁちゃん!俺ってば病気なんか!?」
「いや…そうじゃない…」
「も、もったいぶるなよばぁちゃん!病気でもばぁちゃんやサクラちゃんがいるし、九喇嘛もいるから治るってばよ!」
「違う、よく聞けナルト」
「お、おす…」

ゴクリ

しばしの沈黙が怖い。
ゆっくりと俺を見てばぁちゃんは沈黙を破った。

「ナルトお前は……

妊娠している」

「は?」
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