はたけ家族の物語

□不安
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不安

「ばばばばばばぁちゃん、いいいいい今なんて…?」
「だからナルト、お前は妊娠しているんだ!どういうことだ!?」
「どどどどどどういうことって、俺男だってばよ!?こっちが聞きてえってば!?」
「と、とにかく落ち着けナルト」
「おおおおお落ち着けったってばぁちゃん」

俺は生まれてこの方正真正銘の男だ。
そう、男。
え?男って子供できたっけ?いや、そんなのアカデミーで習わなかったってばよ。まぁ俺は授業まともに聞いてるようなやつじゃなかったけど……って違くて!!!

「な、なにかの間違いじゃねえのか?」
「いや、これは確かに母体に流れるチャクラだ…。お前と九喇嘛のチャクラに混じって、微かだが、別のチャクラがある…。それも……2つ…」
「いっ!?そ、それって…」
「双子…だな…。と、とにかくすぐに病院へ行くぞ!細かく検索する!」
「う、うす」

どうなってるんだってば俺の身体!?
俺は走るなと言われて綱手のばぁちゃんに担がれて病院に連れて行かれた。


「ほ、ほんとだわ、ナルトあんた妊娠してるわよ」

病院へ行き、サクラちゃんにも診てもらった。
ばぁちゃんとサクラちゃん、2人に断言されたらもう確実だ。

「検査の結果だ」

綱手のばぁちゃんから検査結果の紙を受け取ったが、いまいちよく分からない。

「詳しいことはよく分からなかった…が、おそらく九喇嘛の九尾チャクラが関係しているのではないかと見た。その九尾チャクラがお前の体に何らかの影響を与えたんだ。赤ん坊はだいたい3ヶ月ってとこだろう」
「ほ、ほぉ…そうなのか…?九喇嘛」

腹の中の九喇嘛に話しかけてみる。

『ワシもよくは分からん。が、確かにかなり小さいガキが2人いるな』
「そ、そうなのか」

時間が経ち、ようやく落ち着いてきた頭は、案外すんなりとばぁちゃんや九喇嘛が言うことを受け入れた。

「それで、どうするんだ?」
「へ?」
「男が生む、というのはそれなりのリスクを伴う。それも双子。生むのか?」
「そ、それは……わかんねぇ…。もし、カカシ先生に拒絶されちまったら…」

そうだ、もしカカシ先生にいらないなんて言われたら…。
でも、それでも。

「俺は、生みたい…。俺みたいなやつのところに、せっかく来てくれたんだ。俺は、カカシ先生に拒絶されても、生みたいってば」
「ナルト……。そうよね!私、全力でサポートするわ!もしカカシ先生に何か言われたら
私がぶん殴ってやるんだから!」
「サクラちゃん…」
「そうだな、私も赤ん坊が生まれるまで隠居の旅は中止だ。ナルト、必ず無事に生ませてやるからな」
「綱手のばぁちゃん…」

2人に励まされ、病院を出る。

「ナルト、1人で帰れるか?」
「私、送ってこっか?」
「大丈夫だってばよ、ありがとな2人とも!」

2人に支えられてるんだったら100人、いや、1万人力だってば。
とても頼もしい。
なのに、なぜか、心にあるのは不安で。
大好きなあの人に、カカシ先生に拒絶されたらという恐怖で。
帰路につく足取りは、とても重かった。
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