はたけ家族の物語
□誕生
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誕生
現在妊娠9ヶ月と2週間。
いわゆる臨月というやつだ。
「おぉぉ、今日はやたらと動くってば」
「えっ、ほんと?」
元気にお腹の中を動く双子に愛おしい気持ちが湧き出てくる。
カカシ先生はお腹に耳を当てて胎動を聞く。
もうお腹に耳を当てなくても充分動いているのは分かるのだが、カカシ先生はできるだけ近くで胎動を感じたいらしい。
ぽこんっ!
「いてっ」
「ははっ!先生ってば蹴られてやんの!」
お腹を蹴った時に足の形が少し分かる。
最初はかなりびっくりしたけど、今となっては慣れたもの。
カカシ先生は産休だとか言って、9ヶ月に入った頃から休んでいる。
先生が生むわけじゃねえのになんで産休なのだと聞いてみると。
『最近じゃ男も産休をとることが増えたんだよ。それに、俺が仕事行ってる間にナルトに何かあったら大変デショ?
綱手様もその間火影業務をすることを承諾してくれたしネ』
だ、そうだ。
ちなみに出産の時、取り上げてくれるのは綱手のばぁちゃんで、助手にサクラちゃんが来てくれるらしい。
その間の業務は現在火影補佐官をしているシカマルがしてくれるそうだ。
俺ってば、たくさんの仲間に支えられてるなと思った。
その時
「ん…いっ!?」
「ナルト!?」
「いて、いてて!?な、なんだ、いて!」
「陣痛じゃないのか!?待ってろ、今綱手様に連絡する!!」
カカシ先生は慌てて電話を手に取る。
その間もずーっと痛くて死にそうだった。
世界中の母ちゃん達はこの痛みを経験してるんだから、尊敬しなきゃいけねーななんて、痛みの中でも考えてた。
「ナルト!病院に来てくれと言われた、歩けるか!?」
「うん、へーきだってば…。おさまったってばよ」
「陣痛は周期があるから、痛みがおさまっているうちに来るといいらしい、今行けるか?」
「おう、大丈夫!カカシ先生、悪いけど寝室から荷物持ってきてくれるか?入院用の荷物」
「わ、分かった」
あのカカシ先生がすごく慌てている。
なんだか面白いってばよ。
「いてて…」
また来た弱い痛み。
前に読んだ本に、痛みは少しずつ増していくと書いてあった。
今でも痛いのに、これ以上痛くなるのか…。
ほんの少しの恐怖を覚えながら、痛みの中でももう少しで赤ちゃん達に会える。
そう考えたら、がんばろうと思った。
「ナルト!行こう」
「おう!」