緋色の翼

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「はいどーもぉ、科学班室長のコムイ・リーです!歓迎するよアレンくん、シャナくん
 いやー、さっきは大変だったね〜」

 恐ろしく軽い口調で出迎えてきたのは眼鏡に巻き毛の男性だった
 手にマグカップを持ったまま、右手でクイっと眼鏡を押し上げここぞとばかりに存在を主張してくる彼は特別派手な格好でもないのに、ずいぶんとうるさい人だとシャナは思った
 コムイの後ろに続いて三人はゆっくりと階段を下って行った

 たどり着いた部屋は診察台が一つ置かれた医務室のような一室だった
 天井には手術用の大きな照明が吊り下げられ、タイル張りの部屋は薬品のにおいで鼻につんと刺激を与えた

「じゃあアレンくん、腕を見せてくれるかな」
「え?」
 アレンは素っ頓狂な声をあげた
「さっき神田くんに襲われた時、武器を損傷したでしょ。我慢しなくていいよ」
 先ほどから随分と軽い印象を与えるコムイだが、観察眼は鋭いらしい
 シャナはポンっとアレンの背中を押してコムイの用意した椅子に促した
 こんな時アレンはいつも居心地悪そうな、むず痒そうな顔をする。どうにも素直に喜べないようだった

「神経が侵されてるね、やっぱり」
 診察台に置かれた左腕を見て、コムイは唸りながらつぶやいた
 シャナもこっそりと覗いてみるとアレンの腕は手の甲から腕の真ん中まで大きな筋が通り、腫れあがっているのが見て取れた
「リナリー、麻酔持ってきて」
 たったと棚にかけていく
 その後ろをシャナはぴったりとくっついて一緒に薬棚を眺めてみるがすべてがちんぷんかんぷんだった
 やることがなくて居心地が悪い
 しかし、専門的なことを手伝うわけにもいかず仕方なしに壁際で床をけることに専念した
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