雪兎の足跡

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「もーーー!オレは関係ないって言ってるのに〜!!」
「いやー、仮にも十代目なんだからまったく関係ないこともないんじゃない?」
「オレは不良になんてかかわりたくないよ!」
 そういいつつ、先ほどとっさにカバンに突っ込んだらしい大量のチラシを取り出した
「母さん、いつの間にこんなに集めてんの?何が護身用だよ。おまえ雇った時もチラシ見てだったよなあ」
 きっと胡散臭いチラシだったんだろうな
 よくツナのお母さん了承したな…見た目赤ん坊だし

「フゥ太がいればツナに向いた格闘技ランキング作ってもらえんのにな」
「ツナに向いた格闘技…?」
「いらないよそんなランキング!しかもこっそりそんなのあるのみたいな顔しないで、六花!」
「バレたか」
「バレるよ!!」
 楽しくて表情にでてしまったらしい
 気を引き締めないと
「それか了平のボクシング部に入ればいーじゃねーか」
「じょ…冗談じゃないよ!スパルタで殺されるよ!」
「じゃあこのブーツみたいに靴に鉄でも仕込んでみる?」
「それ鉄仕込んであんの!?」
「今は一番軽いのだから片足2.5キロくらいかな?」
「それこそ死ぬって!…そういえば昨日コンクリート粉々にしてたっけ(小声)」
「何か言った?」
「なにも!」

 そうして談笑していると並盛中の校門から何かや威圧感を感じた
 みると学ランを羽織ったリーゼント達がたむろしている
 腕には風紀委員の腕章がつけてあった

「風紀委員だ!!あそこにも…!」
「そりゃああんな事件が多発してるんだ。ピリピリもするぞ」
 なるほど、この威圧感はそのためか
 というか、風紀委員はずいぶんとやられたのかと思ったが結構な人数が徘徊していることを考えると所属人数は多いのだろうか?
 しかも、みんなリーゼントに学ラン
 …無個性ですね
「やっぱ不良同士のケンカなのかな…」
「ちがうよ」
「!」

 声のしたほうを見ると日本人らしい顔立ちの青年が不機嫌そうに立っていた
 腕にはリーゼント達と同じく風紀員の腕章がつけられているが学ランは着ていないらしい
「ヒバリさん!!」
 隣で叫ぶツナの声が一変した
 今までの絶叫とは比べ物にならないほどの恐怖心を感じる声
 この人があのヒバリさん
 トンファンで群れている生徒を容赦なく叩きのめす彼は実は風紀委員の委員長であり、この学校の秩序
 無類の並盛好きらしい
 ここは群れていると認識されるのはまずい(カバンの中にしかもっと重いの入ってないし)
 若干の距離をツナからとってみるが果たして効果はあるんだろうか

「ちゃおっス」
「いや…ボクは通学してるだけでして…」
 ツナさん、一人称が変わってらっしゃいます
 一応私もおはようございますと挨拶をしておく

 しかし、ヒバリさんは特に気にした様子もなく、不機嫌な顔のまま話をふった
「身に覚えのないイタズラだよ…。もちろんふりかかる火の粉は元から絶つけどね」
 目がマジだ
「やっぱヒバリさんこえーーっ」

 と、殺伐としかけた空気にのんきの歌が響き始めた
 緑ーたなびく並盛のー
 資料によると並中の校歌だっただった気がするそれはどうも目の前の人物から聞こえてくる
 そして、何事もないように彼は携帯をとった
「(ヒバリさんの着うたーーー!!!?)」
 ツナの心が手に取るように分かった

「じゃあ、失礼します」
 冷や汗を流しながら衝撃の着うたを聞いてしまったことをなかったことにするようにへっぴり腰で逃げようとしていたツナにヒバリさんから声がかけられる
「君の知り合いじゃなかったっけ。笹川了平……やられたよ」
「……!」

 つまりは彼の歯は引っこ抜かれたということだろうか
 ツナははじかれたように病院の名前を聞き、急いで病院へと向かった
「ちょっと待って!」
 私も慌てて後を追いかけた
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