緋色の翼
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通る先々でリナリーは教団内の施設について説明を入れてくれた
食堂、修錬場、談話室
どの共同スペースも間取りは広く、プライベートでも仲間内で騒ぐにも十二分なほど場所が確保されていた
「他にも療養所や書室、各自の部屋もあるからあとで案内するね」
「部屋が与えられるんですか!?」
「贅沢ー」
宿代をケチっていた修行(?)時代、一人部屋なんて以ての外だった二人
部屋が与えられるという甘美な響きはその事実だけで心躍らされた
「エクソシストは皆ここから任務に向かうの。だから本部のことを『ホーム』って呼ぶ人もいるわ
出て行ったっきりわざと帰ってこない人もいるけど」
まさしく師匠のことである
シャナはふーっと大きく息を吐く
所々でちらちらと脳裏に映るあの怪しいフォルムを少しでも頭から消し去りたかった
もうそばにはいない、あの大きな背中がぼんやりと滲む
記憶の始まりから約四年間、彼が自分主軸にいたことは確かで、帰るべき場所だったことも本当で、役割をくれたのも彼だ
「ホーム」という言葉はシャナにはとても重い言葉に聞こえてならなかった