雪兎の足跡

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「朝からひどい目にあった…」
「ご、ごめん」
「いや、六花が悪いなんて言ってないよ!?」
「うん、ありがとう。護衛といってもリボーンの奇襲を防ぐのは至難の業だから…」
「それは…うん、よくわかる」

 二人そろって遠い目をして、ぷっと笑いが込み上げた
 リボーンの被害にあった人物はみんなこんな感じなんだなと思うとなんだかほっとした
 あ、やっぱり私、ちょっと緊張していたんだなと気づく
 こんなに年の近い男の子と話すのは初めてで、しかも家に住むことにまでなっちゃって、そりゃあ緊張するよね
 ここにきて、もしかしたら本当にようやくほっとしたのかもしれない

 一階に降りて、キッチンに入るとリボーンはまるで今までずっとそこにいたように席についていた

「六花ちゃんにツッ君、おはよう。六花ちゃんはよく眠れた?」
「はい、眠れました」
「それはよかったわ、ご飯はもうできてるから座ってね。ツッ君、牛乳出してくれる?」
「わかった」

 まだ沢田家の勝手がわからないので言われた席に座る
 よく見るとリボーンの皿はもう空になっている
 いつの間に食べたんだ…
 とりあえずいただきますと添えて箸をとりご飯に手を付けた

「そういえば、並中大丈夫なの?また襲われたらしいじゃない」
「何それ?」
「この土日で並盛中の風紀委員8人が重傷で発見されたんだぞ」
 何それ聞いてない
「お前にはまだ情報が来てなかったのか」
 心読まれた
「やられた奴はなぜか歯を抜かれてるんだ。全部抜かれた奴もいたらしいな」
「惨い」
「え〜〜!!?マジでーー!?」
 それを片手間に聞いていたツナが絶叫をあげる
 常人の感覚が抜けないらしい彼は冷や汗を流しつつ自分の席に着いた
 これはもしや、私の腕の見せ所…?
「な…なんでそんなことするんだ?」
「さーな」
「ねーツナ、護身用に格闘技でも習ったら?」
「なんでそーなるんだよ!!」
「そりゃ心配だからよ!自分の身は自分で守らなきゃ」
 私の存在意義とは
「それに男の子は強くなくっちゃね!」
「だな」
「私が教えるよ!」
 仕方ない、便乗しないと仕事がなくなってしまう
「よけいなおせわだよ!つーかオレかんけーないから!不良同士のケンカだよっ」

 全力で拒否するツナだがボンゴレ十代目のレッテルを貼られている時点で十分不良の世界に全身突っ込んでいる気がしないでもない
 とはいっても、ツナの情報を見る限り運動神経も勉強も人並み以下の彼だ
 不良同士のケンカに巻き込まれるとは考えにくい
 一方的にやられることは無きにしも非ずだけど

「やられてるのは風紀委員ばっかりなんだろ?」
「そうだけど…考えてみなさい!はい、これチラシね」
「ちょっ母さん!」
 ツナのお母さんは半ば無理やり武道関連のチラシを渡し、そそくさとキッチンを出て行ってしまった

「ったく…。そういえば六花は今日どうするの?」
「え?一緒に学校に行くよ?」
「えーーーー!?学校行くの!?」
「制服着てるじゃん」
 今まで気づいていなかったらしいツナに見せつけるように裾をつかんで腕を広げる
「あ、た、確かに…」
「護衛って言ったじゃねぇか」
「いや、でもこんな急に…」
「まあまあ、もう行かないと遅刻するんじゃない?」
「あっ!」
 手早く朝食をかきこみ、カバンを手に取ってツナはバタバタと玄関に向かった
 私もそれを追いかける

「行ってきます!」
「あ、っと…い、行ってきます!」

 若干の気恥ずかしさを感じながら大きな声であいさつをして玄関を出た
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