日向の5人姉妹

□第2話
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菜緒side

「菜緒、おはよう」と彩姉に声をかけられる。私はおはようと声に出して伝えたいけどそれができないから、せめて顔だけでもと思って笑顔で返す。


私は、加藤家の末っ子として生まれた。
毎日賑やかなお姉ちゃん達と優しい両親と暮らせてすごく幸せだった。だけどある日突然、私たちに悲劇が起きた。

両親が、2人で買い物に出かけていたときトラックが正面衝突してきたのだった。両親は救急車で運ばれたけど即死。
菜緒は現実が受け入れられなくて、呆然としていると、声が突然出なくなった。
声を出そうと頑張ってみても、前のように声は出ないし、もうダメだと思って毎日現実を見る度辛くなって、受け入れたくなくて、夜涙が枯れるほど出るようになった。

誰にも気づかれないように、夜リビングにいって泣いて、水を飲んで落ち着かせていると、史帆姉が帰ってきた。そうしたら史帆姉はすっごく心配してくれて、理由を聞きたがった。これを言えば楽になるのか、たくさん考えた。
ゆっくりでいいからと史帆姉が言うもんだから、打ち明けてみた。「突然夜になると感情を抑えられなくなって涙が溢れる」と。

そしたら、史帆姉はそっかそっかと背中を擦りながらこう言ってくれた。
「菜緒がどれだけ辛い思いをしてるのか、お姉ちゃんは全部は分かってあげられないかもしれないけど、お姉ちゃん達は菜緒がお姉ちゃん達の知らない所で苦しんでるのは嫌なんだよ。だから抱え込んじゃダメだよ、みんな菜緒の味方だから、いつでも頼ってほしいな」って。


これを聞いたらとめどもなく涙が溢れてきた。そして泣いてたことが久美姉にはバレてたよって史帆姉に言われた。誰にも気づかれてないと思ってたのに、、

それから私の知らないうちに4人のお姉ちゃんで話し合いをしたようで、いろいろ考えた結果彩姉が同じ部屋になることになった。

彩姉はいつも私が泣き始めると気づいて起きてくれて背中を擦りながら、大丈夫大丈夫、思いっきり泣きなって毎晩言ってくれる。その言葉にどれだけ助けられたことか、、苦しくても誰かはいてくれるんだなって感じた。


学校に行けば私が声が出ないのを、よく理解してくれている美玖がいるし、私って色んな人から支えられてるんだなと思う。毎日話せない私を思ってか、彩姉が教室まで送ってくれて、帰りになるとすぐ教室に迎えに来てくれて美玖と、彩姉と同い年の美玖のお姉ちゃんの陽菜ちゃんと一緒に帰っている。

彩姉は菜緒のことすごく心配してくれているけど、そのせいで彩姉が疲れちゃったら嫌だなと思うけど、彩姉が辛いことあったらいつでもおいでって腕を広げてくれるからもう少し頼ってもいいのかな、、


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