日向の5人姉妹

□第3章
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彩花side

私の任務は朝から始まる。まず菜緒の身支度が終わったのを見計らって、
「菜緒、行ける?」と声をかける。
そしてうんと頷いてくれたらそのまま一緒に家を出る。でも、何かしらの理由があって行きたくない時は下を向いて、頷いてくれない。そんな時は菜緒は具合が悪いか、学校で嫌なことでもあるのかこの2択だ。菜緒はずる休みなんて私みたいなこと考えるような子じゃないから。


今日はどうやら行きたくない日みたい。
菜緒は下を向いて私と目も合わせてくれないから。それじゃあお姉ちゃん腕振るっちゃいますか!
「なーお、どうしたの?具合悪い?熱計ってみよっか?」
しゃがみこんでそう聞くと、菜緒はフルフルと首を振る。
「それじゃあ、なんか今日学校であるのかな?」って聞いてみると案の定、ぴったり賞。1年の菜緒のクラスの今日の予定はよく分からないし、菜緒も書こうとしてくれない。行きたくないと言わんばかりにそっぽを向いてくる。
こんな時は美玖ちゃんに聞くしかないと思い、陽菜にLINEで
「菜緒が学校行きたがらないんだけど、美玖ちゃんに今日何かあるか聞いてくれない?」と送るとすぐに

「彩花ちゃん、美玖です。
今日は4時間目音楽で歌のテストがあるんです。
菜緒の事情はみんな分かってるけど、昨日から菜緒は浮かない顔してました。」とすぐに返信が来た。

菜緒は真面目だから、自分だけ歌が免除される歌のテストのことを気にして行こうとしてくれないということが分かったから、こっから菜緒への慰めタイム。

「お姉ちゃんはさ、菜緒のそういう真面目なところ大好きだな〜、すっごい素敵だと思うよ。だけどね、そうやって全部やろうとしちゃうと菜緒はパンクしちゃうから」

「頑張りすぎないのも大事だと思うなあ、4時間目なんでしょ?そしたらさ、久しぶりに陽菜と明里と私と美玖ちゃんと菜緒でお弁当食べようよ!どう?楽しみじゃない??」

そう聞くと菜緒は携帯のメモに
(菜緒、学校行く!)と書いてくれてほんとに可愛い子だなと思った。


私は不器用だから史帆姉や、久美姉、みーぱんみたいに菜緒がほんとに思ってることとか、どうしてほしいとか分かってあげられてないと思うけど私なりの菜緒への思いはさ、いくらでも伝えられるから受け取ってほしいなあなんて。

「よしじゃあ行こっか」と菜緒の手を取って家を出てまた新しい今日が始まる。


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