日向の5人姉妹

□第5章
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史帆side

今日も残業で結局遅くになってしまった。家計を支えなければいけないから仕方ないことだと分かってるけど、妹たちの様子がよく分からないから本当はもう少し早く帰ってきたいのだけれど。


私が帰ってくると久美と美玲だけ起きていて、彩花と菜緒は寝てしまっている。朝は早くて帰りは遅いもんだから、菜緒の様子は全然把握出来なくて、ほとんど彩花に頼みっぱなしになっている。



彩花はもっと遊んで、友達と夜まで通話してなんていう年頃だから、正直申し訳ないけど、


「菜緒のこと大好きだし、なんにも負担じゃないから、史帆姉私のこと心配しなくて大丈夫だよ」って彩花が言うからお言葉に甘えてしまっている。


ちょっと2人の顔が見たくなっちゃって、起こさないようにそっと彩花の部屋を覗くと、彩花が菜緒の頭を撫でながら寝落ちしてしまったのか、手を菜緒の頭に乗せたまますーすー寝ている。


菜緒が声が出なくなる前は完全にどっちがお姉ちゃん?って思っちゃうくらいで、小さい時も彩花が転んだ時に泣いて、「彩ちゃんだいじょーぶ?泣かないで?」って菜緒に心配されてたのに、菜緒と同じ部屋になってからはすっかり菜緒のお姉ちゃんになって、夜菜緒が泣き出すと、落ち着くまで膝に乗せて背中さすってあげてたよって久美が言ってた。


「私、菜緒の泣き声が聞こえて見に行ってみたら彩花もちゃんと起きて、お姉ちゃんしてたから声掛けられずにドア閉めちゃった」って聞いた時はほんとにすごいなあって彩花大人になったなあって。


私も実は過去に思い出したくない出来事があって、声を1度失ってるから菜緒の気持ちがよく分かるから、彩花がいて菜緒相当助かってるだろうなって久美の話を聞いた時に感じた。


これは今日バタバタしてる時に、彩花の部屋から聞こえてきた話だけど彩花が菜緒に、「菜緒、行ける?」って聞いて、それで彩花なりに菜緒を学校へ連れ出そうとしてて、ちゃんとお姉ちゃんしすぎててびっくりして足が止まったくらいだ。今度の休みは皆を連れてお出かけでも行こうかななんて想像してたら、美玲に「史帆姉、お風呂入らないの?」って言われて「ありがと、そうだね」と返してお風呂に向かった。
久美side

彩花からこんな話をされたことがある。
「ねえねえ、久美姉。菜緒ってさ、私のことどう思ってるのかな?頼りにされてるのかな?菜緒さ、久美姉のこと大好きだからさ、久美姉の背中によくくっついてるじゃん。私全然されないんだけど、お姉ちゃんになれてるのかな?」って

「絶対菜緒は彩花のこと大好きだし、頼りにしてるよ、しかも彩花はちゃんとお姉ちゃんじゃん。昨日だって菜緒のこと膝に乗せて、慰めてたじゃん、おー彩ちゃんお姉ちゃんしてるぅって思ったよ」なんて言ったら

「やだー!見てたの?恥ずかしいじゃん、、全然気づかなかったけど、あれはお姉ちゃん達だったらどうするかなって考えた結果、よし、膝に乗せて抱きしめてみようって思ったの!でもさ、久美姉だったらどうしてた?」


「それは、彩花と同じことすると思うよ。菜緒って抱きついたり抱きしめられるの好きだからさ、この間だってね、史帆姉が珍しく早く帰ってきた日あったじゃん。あの時ずーっと史帆姉にくっついて離れなかったんだよ笑だからさ、彩花に抱っこされるの嬉しいはずだよ」って返したら、

「そうだよね、菜緒は感情をさ、表すのが元から得意じゃないからさ、一応毎朝機嫌チェックしてるんだよね、久美姉もやってみなよ、あの子結構手強いから笑」なんてにこにこしながら言うから、じゃあ今度やってみよっかなあって。


彩花だけだよ、あんなに菜緒を手懐けてるのはって思いながら、いつもありがとうね、彩姉さん。って言ったら彩花はうふふ、感謝されるほどのことは出来てないけどって言いながらみーぱーんー!って美玲の方に歩いていった。

史帆姉に心配するほど彩花はお姉ちゃんで、菜緒のこと守ってくれてるよって後で伝えよっかな
美玲side

「彩花は最近急に大人になったね」って
久美姉がレポートを書きながらふと呟いた。確かに彩花は菜緒と同じ部屋になって、同じ高校になって途端にお姉ちゃんになっていた。

彩花が私より菜緒のお姉ちゃんに見えて、私菜緒になんにもしてあげれてないなって。



菜緒と私は年が近いわけでも遠い訳でもないから、姉妹の中で1番菜緒と絡みが少ない気がする。可愛い妹には変わりないけど。


「みーぱん、、」って袖を掴んできたから、何かと思うと課題を見せてきて、
「教えて!」って書かれてた。「みーぱんちゃんと覚えてるかなあ」なんていって、菜緒のノートを見たらすっごく丁寧に板書をとっていた。
「菜緒、丁寧にかいてるんだね」って言ったら、ふふって。嬉しそう。



勉強以外で頼りにされないから、ちょっと寂しいから、菜緒のタイミングでいいからいつでも甘えてきていいんだよ。

待ってるからね、菜緒。


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