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□トリックオアトリート
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「あっ!それ美味しそう!トリックオアトリート!」

台本をめくりつつチョコレートをつまんでいると、相葉くんがぬっと現れた。さすがスイーツ部……お菓子の匂いには敏感なのだろうか。

「そのお菓子くれなきゃイタズラするよ!」
「イタズラ?何するの?」
「ええっ!?……特に考えてなかった」

相葉くんは頭にコツンと拳をあてて、ヘラヘラ笑っていた。なんだそのリアクションは。

「古いな〜(笑)」
「うるさいな、もう!いいから頂戴それ!沢山あるし、ひとつくらいダメ?」

貰う気満々で口を開けながら顔を寄せてきた。あぁ、なんて美味しそうな……思わず見蕩れた。そんな艶めかしいところを簡単に人に見せてはいけないな。塞ぐようにチョコレートをひとつ入れてみる。

「あっ、おいし〜。ありがと!」

貰うだけ貰ってさっさとどこかへ行こうとする相葉くん。それじゃあ不公平じゃないか。あんなもの見せられて……俺だって食べたい。

「待って、俺にも頂戴」

手首を掴んで引き止めると、相葉くんは驚いた顔でこちらに振り向いた。

「え?俺いまお菓子持ってない……」

隙をついてそっと唇を重ねると、チョコレートを食べたばかりのそこは微かに甘かった。

「ん……ダメだよ、こんなところで」
「だって美味しそうだったから」

恥ずかしそうに、でも満足気に笑う可愛い君を、今すぐ食べてしまいたい。


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