進撃のリヴァイ

□第5話 突っ伏して、前へ
4ページ/6ページ

学生三人が話しに熱がこもる頃。


リヴァイはエルヴィンと会社で仕事をしていた。家に居てもあの夫婦しかおらず、
ペトラとは気まずいので、会社に来て仕事をするしかない。

 
昔は悪いお友達と遊んでいたが、
堅気になってからはそれもとっくにやめている。




エルヴィンはウィンドゥ型のPCでデータを入力している。
彼の膝下にはコーギー犬が寝そべっており、
リヴァイはこの胴長短足の犬が気にいらなかった。


「…チッ…」

「リヴァイ…舌打ちが多いぞ。」

「ッ…うるっせぇな。テメェは母親か。」


いつもの事だから、エルヴィンはデータを入力しながらPCを見ながら青い瞳を瞬かせる。
 
白いシャツに、黒いカーディガンでシックだが大人のお洒落感があり、
エルヴィンに似合っている。

対してリヴァイは。
黒いシャツに紺のパンツ。
いつもとあまり変わらない。

ふと、エルヴィンは尋ねる。


「……不機嫌だな。」

「……………。」


ははぁ。これは拗ねているな。と、思うが自分からは話したりしないこの男。
エルヴィンは椅子から立ち上がり、
棚からカップを出して、紅茶を注いでやった。

湯気立つそれをリヴァイに渡す。


「…仕事以外の悩みか。」

「ホテルの襲撃事件だが、俺とクソチビの面は割れてねぇどころか、さほど騒がれてねぇな。」

「あぁ、おかしいと思ってな。今ハンジ達に調べてもらっている。」


リヴァイはノートパソコンを開き
不機嫌にもなる。
何かが関わっているように思える。

(…………隠しごとが得意な奴らの仕業か。)


彼はデザイン編集ソフトを操作しながら、
エルヴィンに話しかける。


「公安か、奴等か。」

「…その可能性はゼロではない。…恐らくは………。」

「…恐らくはケニーの野郎が関わってるだろう。」

「我々も警戒しておく。…お前も彼女を守ってくれ。」


リヴァイは黙って頷く。
だが、その彼女とは2週間ばかり顔を合わせていないので不機嫌になる。

仕方ないなぁと、エルヴィンは苦笑いを浮かべてさり気なく尋ねる。


「…連絡してみたらどうだ。」

「………黙れ…。」

「…仕事が忙しいと、気を使われてんじゃないか?」

「おぃ、エルヴィン。…………ッ…」


聞こうとしたけど、辞めた。
紅茶を飲み、飲み込むがなんて聞いたらいいのか、分からなかった。

そこで、エルヴィンは助け舟を出す。
兵士をやっていた時も、そして
生まれ変わってまた再会できたが、
この男の不器用さはかわっていない。


(…寧ろ………全く変わっていないことは、奇跡としか言いようがない。)


彼は静かに笑ってリヴァイに言った。


「…彼女と会って話せばいい。…一晩一緒だったんだろう。」


野暮とは思いながら、
尋ねると、静かに返事をされる。

「……変態かテメェ。…それを聞いてどうするつもりだ。」

「悪かったよ。」

思わず謝っちゃった。
どうやら聞かれたくないのかと、
理解の早いエルヴィンはそれ以上でも聞くのをやめようと思ったのだが。

リヴァイが。

「……奴は、男と寝た事がねぇ。」

「それは。」


お前があれだけガードを固めて守ってたんだから、当然だろう。
と、突っ込みたくても、突っ込めなかった。
エルヴィンは淡々と答える。 


「…大変だったな。」

大人な対応をするエルヴィンは人格者だと思うが、自分も彼女いない歴が更新されているので、内心は焦りもある。


(マリーと別れて5年………ッ…あちらはナイルと結婚し、もう三人目を妊娠中か……。)

哀愁が漂う、エルヴィン・スミス今年で35歳..。そう、思いながらリヴァイの話しを聞いてやる。

リヴァイは淡々と話す。


「……奴の事を解っていたが、…テメェの事は分からねぇものだな。」

「お前だって男なんだ。…そういう欲位はある。」

「…ッち…気持ち悪い。」

「自然な事だ。気持ち悪がることじゃない。……ミケや俺だってそういう時がある。」


リヴァイはエルヴィンを見て、
ただ憮然とした表情で、パソコンを操作仕出す。どうやら、そういうものなのか。と、
納得はしたようだ。

まるで不器用な中学生のようで、
エルヴィンは少し笑けそうになった。

そして、穏やかに伝えておく。

「…お前なら、大丈夫だ。……少し待ってやればいい。ステラは、無視する子じゃないことくらいわかってるだろ。」

「…。」

タタタタタッ…とリヴァイの指が
パソコンを操作しているが。小さくこちらを見て瞬きをする。
それが。返事だった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ