進撃のリヴァイ
□第8話 涙、飛び立つ。
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ステラは驚いて立ち上がる。
久しぶりに会った兄貴分の彼は額に血管を吹き上がらせて怒っていた。
「お前に部長の何が分かるんだよ!」
「オルオ!?やめてよ!」
「…ステラ…お前はリヴァイさんが好きだったろ、やっと打ち明けたんだろ。………ずっつっっつと、抑えつけやがって。………ッ俺にはわかってたんだからな。」
オルオは横目で呆気に取られた彼女を見て、グンタから胸ぐらを、話して話しかける。
おちゃらけている彼とは違う。
真剣な眼差しだった。
「…ペトラのことで悩んでたんだろ。…気にすんなよ。……何を抑えてんだ。」
「だ、だって。…怖かったんだよ。」
彼女はボロボロと涙を流して立ち尽くす。
グンタも一緒に話を聞いて涙をし、
オルオも涙を流する。
店員さんは、準備中にしてくれてこの三人の為に話の行く末をオーナーのおじさんと固唾を呑む。
「……グンタ先輩の気持ち、すごい嬉しかった。付き合ったら楽しんだろうなって。思った。…でも、いつもいつもいつも…兄ちゃんが傍にいて。邪魔ばっかりしてきて。」
「…ッ」
「でもさ、オルオもお姉ちゃんが好きで、なんとかしてあげたいって思って。」
涙で視界が滲むが、笑ってしまう。
ハハハッと乾いて笑う。
「でも、私が頑張ったらお姉ちゃんは兄ちゃん(リヴァイの)方に行ってしまって。
オルオが悲しそうで、お姉ちゃんを見るリヴァイさんを見ると腹が立って。…」
彼女は震えながら続けた。
オルオは聞いてみた。
「…ペトラに腹立ってたんだろ。」
「そうだよ!!……私だって、兄ちゃんが好きだったよ。でも、どの好きか分からなかった!!…言ったらいけないことだと思ってた。……すべてを壊してしまうから!諦めてたんだよ!」
彼女はリヴァイを想い浮かべて、泣き叫ぶ。
不満が溜まっていた。
「…日本に行ってほっとしたよ。…もう、悩むことないって!でも、帰ってきていきなり、私を好きだとかって勝手すぎるんだよ!!」
店員さんも、オーナーも泣いてしまう。
皆で泣いた。
グンタも泣いた。喚き散らして想いを告げた。
「俺だって……ッ怖くて……ステラに告白出来なくて!フラレた!全部部長のせいだ!!……ウワァアア! 」
グンタさん大泣きして、オルオとステラが驚いておしぼりで涙を拭いてやる。
彼女も、心配でグンタの背中をさする。
「ぜんばいながだいで。」
「ううぅ……うわぁわぁ!…ッ…ステラぁ…なんで俺じゃ駄目なんだよ。……部長なんかと別れてくれよ。」
「ベトラの馬鹿野郎ぉおおッ…658回も振りがってぇええ!…」
フラレた回数が多すぎる。
皆が皆泣いて、収拾がつかないがステラが涙を、拭いグンタの手を握った。
彼はそれに、救われる。
「グンタ先輩……私グンタ先輩の事は
大好きな先輩です。…でぼッ……恋人として付き合うことができなくて。ごめんなさい。」
でも、と、彼女は続ける。
「…先輩は優しくて、大好きです。」
「嫌だよ……彼氏になりたかったよ。」
「なんでもっと早くに、気づけなかったんだろ。」
悔やむステラの言葉で、グンタは彼女を抱きしめて泣いてしまう。想いに応えられないステラと、想いを告げられなかったグンタ。
フラレ続けてどうにもならないオルオ。
皆、皆、抱えていた。
大人が三人泣いていて、店員さんも泣いていて、オーナーが来客があるのでドアを開いたらリヴァイが来てしまった。
修羅場。
彼は大泣きしてる三人を見て、
表情を変えずに話しかける。
「グズグズ泣きやがって、クソでも出たか。」
グンタが泣きながら、袖で拭ってリヴァイに向かっていきなり殴りかかるが、
返り討ちにされ、膝蹴りと頭突を食らう。
「畜生!」
「ッ……」
オルオがグンタに駆け寄り、ステラはポカンと立ち尽くす。オーナーはドラマのような展開にハラハラして営業はおしまい!と、店員に伝える。
グンタは鼻血を出しながら、怒りを向ける。
「…部長の愛情表情は歪んでます!……恋人怖がらせる男があるかよ!!」
「…おぃ、やめろよ!」
「やめねぇよ!…俺は……ッ好きな人にあんな想いをさせない。」
「お前の言うとおりだ。グンタ。」
リヴァイは顔色を変えずに、淡々と答える。
自覚はある。彼は表情を変えずに過去を少しだけを打ち明けた。
その間、ステラは突っ立つまま様子を見るしか出来なかった。
「…俺は歪んでる。……20年前の内乱で、全て失った。…その時だ……欲しいものはどんな手でも使うと決めた。……どんなに誰かを傷付けてもだ。」
スッ…とステラに視線を移す。
彼女はビクッと反応する。
自分を見るときだけ、彼はとても寂しそうに求めるように見つめる。
(………だから………その眼なんだって…)
彼女はまた涙を溜めて、拳を握りしめる。