進撃のリヴァイ
□第2話 謝恩会
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ピアノのジャズの小洒落た演奏。
歓談する大人たちには豊かさを感じる。
シェフが腕を振るい、人々は舌を喜ばせる。
そしてそこに中学生。
いや、ステラの姿があった。
(あぁ…なんで昨日の夜に言うかなぁ…衣装…卒業式の後のパーティーのドレスしかなかったし…こんなガキっぽいドレス…はぁ。)
今日は株式会社自由の翼の謝恩会パーティー。社内の会議室をパーティー会場にしたのだ。
ステラはお団子頭に、赤い膝丈のドレスにシルバーのヒール5a位ものをはいていた。
柱の後ろに隠れながらも、
ちゃっかりとローストビーフとサラダを食べていると、グンタとエルドというペトラの同僚に見つかる。
エルドは金髪に顎に髭を生やし、
ラフにスーツを着こなしている。
ホストじゃね?と、ステラは感じるが顔面には出さないように努める。
「お。魔女っ子発見。」
「やめて下さいよ!!エルド先輩。…あ、グンタ先輩も。」
「…ステラ。よく似合ってるじゃないか。」
グンタは紺のストライプのスーツがよく似合っていた。
このエルドとグンタは対象的な性格だが、
不思議と馬が合って仲がいい。
就職先が同じ、高校も同じと何かと縁があるようだ。
嬉しそうに笑うグンタにつられて、
ステラもにやにやする。
「え。そうですか?…グンタ先輩も、エルド先輩もかっこいいですよ。」
「食い気は満々だな。」
「黙れよ髭。イテテテテテ!」
エルドと彼女も喧嘩友達のように言い合いになる。エルドとは小学校の上級生の会でステラと一緒になり、一人っ子の彼は何かと可愛がっている。
耳をつねられてながらも、目ではしっかりと姉とオルオ、リヴァイの姿確認した。
(お姉ちゃん…せめてんなぁ…オルオ……芸人かよ。リヴァイさんは…吸血鬼?)
リヴァイの装いはオールバックに黒のスーツ、黒の靴以下略。光沢があるので高級なものをレンタルか購入したのだろう。
ステラは淡々と語る。
「あれは、…モテますねー。本人はうざそうですけど。」
「不機嫌そうだな…でも…リヴァイ部長、決まってるよなぁ。」
エルドが頷く。
周囲に囲まれていて、リヴァイは終始不機嫌だった。彼女は妙に感じていた。
パーティー等嫌いだったはずの彼が妙に誘ってきたからだった。
(うーん、紹介したい奴ってどの人かなぁ……。)
キョロキョロと周囲を見渡していると。
突然、ズボッとお団子の真ん中を指で突っ込まれて思わず怒鳴った。
ハンジの仕業だった。
「何すんじゃゴルァ!!…ぁああああ…は、はハ、ハンジさん…ごめんなさい!!」
「いいねぇ、威勢があって、久しぶりだねぇ。ステラ。元気だったかい?」
「ハンジさん下着丸見えです!!!」
ステラがハンジの胸を鷲掴みにして、
急いで隠す。ハンジは胸元の大きく開いたロングドレス姿だったが、着方がわからないので全開だった。
エルドとグンタは目のやり場に困り、顔を手で隠す。でも、グンタはむっつりなのかちょっと隙間から見てしまう。
モブリットというハンジの後輩とステラが慌てて控室に連れて行く。
「いやぁ、すまないね。これわかんなかったんだよ。」
「ハンジさん。自分は外でてますから。
ステラ君。悪いけど頼めるかい?」
「分かりました。」
パタンとモブリットという青年がドアを閉めると、彼女はリヴァイの仕事の同僚であり変人のハンジ・ゾエと二人きりになる。
長身の美女?なのだが、とにかく風呂にはいらず仕事に没頭してしまうので、
生活安全係に任命されたモブリットが健気にお世話を焼いている。
ステラはハンジのドレスのチャックを上げながら話しかける。
「ハンジさん、このドレスなんで選んだんですか?」
「家になかったし、時間もなかったからナナバに借りたんだよぉ。」
「サイズぴったりですね!…スタイルいいですねぇ…。」
「はは。ありがとう。」
ハンジはメガネをかけ直して、
振り返って話しかけてきた。
その問いかけに、彼女はしゅんと。おちこんでしまう。
「どうしたの?…あまり気が進まないようだね。」
「まぁ、はい。」
「ペトラが心配してたよ。高校卒業してから君と全く話せなくなったって。」
「姉が悪いわけじゃないんです。
…ただ…あの人は華やかな人で、一緒にいると比べられてるみたいでしんどいんですよ。」
「それだけ?」
「…うーん。」
言葉に困っていると本人がやってきた。
黒いオーラを纏っているので、オルオを殺してしまったのかなと、ステラは口を半開きにして立ち尽くす。