進撃のリヴァイ
□第3話 戸惑い、狂う。
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それから16年、リヴァイは傍で見守り、
ときには余計な害虫を追い払いながら、
ステラを見守ってきた。
途中、マフィアに目をつけられ死にかけることもあったが、ラル家の強靭な精神力で退けられる。
この一家はどうなっているのか。
リヴァイの様子を、静かに見守る。
彼は思い出したように、淡々と呟く。
「…お前が3つの時……作ってくれたからだ……あんな汚え飯は初めてだったが。悪くなかった。」
「………」
言葉が出ない程の一途だったので、思わず顔を覆ってしまう。3歳のときの記憶は遠くなっていたが、リヴァイが涙を見せることはそこにも後にもこれきりだったからだ。
(……………まさか3歳からだったとは。)
それは我慢したろうし、本人戸惑ったろうなぁ…。と、ステラはリヴァイに共感を感じる。それ以前にあの頃の記憶からと思えば、もっと長い。
だが、あの頃の記憶はリヴァイは彼女には伝えてはいない。
彼女は照れたように、お礼を言う。
「あ、ありがとうございます。」
「……」
「………」
しん。と、するがステラの気持ちが少しだけ変わっていくのが自分でも分かった。
彼女は照れたように、それでも明るくリヴァイに伝える。
誠実な喋り方だ。懸命に懸命に考えて話していく。辿々しく、美しい。
「ま、前向きに、悩みます。…話して下さってありがとうございます。………だから、
あの……ッ…それでですね。時間を」
「…交渉成立だ。」
「だからァぁあ!!」
それでも、「前向きに」がついたことは
リヴァイも驚いた。芽吹いたばかりの気持ちと溢れんばかりのおそらくは100年以上の
想いと、相反する二人の気持ちは始まったばかり。