進撃のリヴァイ
□第4話 のたうち回って、泣き叫ぶ
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電話がかかってきた。
ラル家の冬休みの一時。
娘らは大きくなり、若い頃に子育てをしたかいがあり、夫も妻もまだまだ元気に過ごせている。
一人だけ異色の存在の、潔癖症の青年も家族だった。
ステラの母親は時計を見ながら心配していた。朝からバイトに行ったきりの次女が戻ってこない。
ペトラそっくりの容姿で、
母はニットのセーターにデニム姿をしている。
「うーん…いつも必ず連絡してくるんだけどな。」
プルルルル、プルルルル。
スマホから着信が入った。
今日は仕事とか言っていたリヴァイからだった。
「…リヴァイ君?…ステラが朝から戻ってこないんだけど。一緒じゃない?」
そう聞くのはよくあることで、彼女が、幼い頃から大体リヴァイが学校に迎えに行っているか、土日はどこか買い物につきあわされていることを、この脅威の母は熟知している。
リヴァイは無愛想に伝える。
「あぁ……そうだ。……それと、交際することになった。」
「へーそうなん…………ハァ?!!!」
母親はリアクションは次女と全く同じで、寝耳に水でかなり驚き、小指をぶつける。
ソファーに崩れつつ、早口で聞いた。
「待ちなさいよ。…いつ?…経緯は?……アンタ昔から拗らせてたけど、やっと告白したの?」
この母はリヴァイの少年時代から、今まで彼が末っ子のことが好きな事を真っ先に勘づいていた。
(…拗らせてたからなぁ……碌な手の出し方してんじゃないでしょうね。)
※していた。母はしかめっ面でスマホを毅そうになり我慢をして、再度聴いた。
「お前が、勘違いしてんじゃないのか。」
娘と同リアクション。
怯むリヴァイではない。
「……奴は、了承したぞ。渋々だったがな。」
「…嫌がってじゃねぇか!あんたねぇ……わかってんでしょうねぇ。…帰ったら聞かせろ。…ステラはまだ学生なのよ。妊娠させたら、殺してやる。」
豹変する母のオーラで夫は話を階段で聞いていたが、怖くて出れなかった。
ラル家の母は怒ると手が付けられない。
リヴァイはもう開き直っているのか、
淡々と話をする。
「勿論だ。……まだ早ぇからな。」
「ステラは?!代わってよ。」
リヴァイはずっと横目にスマホを渡す。
ステラはステレオマイクでこわごわ話す。
コレは誘拐の言葉のやりとりではないのか?
と、母に電話した。
「おかあさん…脅されてこうなりました…」
「ステラ…食事とか出されてる?」
「だされてるよ!会話が、サスペンスだよ。」
「自転車も戻ってないしそう考えるでしょう?……貴方はどうしたいの?」
そうきかれて正直に打ち明ける。
母に電話せんでもと、涙目になる。
「…どうじだらいいのが…ッ…でもさ、3歳から想っててくれたのきいたら、もう、どうしたらいいのか、…もう。頭がぐちゃぐちゃで。
前向きに悩ませてくれって言ってしまった。」
「馬鹿ね!!…そんなもん、ゴロツキには交際OKって認識しちゃうに決まってるでしょ!」
真面目な性格の娘は、彼の告白を真剣に受け止めたのだろうと、母親はよくわかる。
ただ、姉のペトラのことだ。
リヴァイが悪いと、母は切れちらかして尋ねる。
「…リヴァイ君……分かってるの?」
「あ?」
「あ?じゃない!!……あんたが昔からはっきりしないから、ペトラが16年もあんたに片思いしてきてるのよ?!………どう落とし前つけるのよ。」
「…アイツが帰国してから改めて伝える予定だ。」
腹立つくらいに淡々としているし、女心がまるでわかっていないから、母は
あのメガネの髭を連想させる台詞をお見舞いした。