進撃のリヴァイ
□第10話 泣きっ面の先に
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ここはドイツ 首都ベルリン。
首相官邸。現代の首相とは違い男性が首相を務める。ここはもう一つのパラレルワールドだと思ってほしい。
名はダリス・ザックレー
名君と名高い首相で有名になっている。
現在の日本や、米国、イギリス、中国、ロシア等曲者揃いの先進国の複雑な思惑を難なく交わし、自国を守り続けている。
その彼の隣でエルヴィンが日本酒を持って、
執務室にてザックレーにグラスを注いでいる。
トプトプトプ
小気味のいい注ぐ音と、美しい装飾のグラスは江戸切子と呼ばれ、日本の伝統的なガラス細工の加工だ。
「どうぞ。」
「あぁ……これは良い品だな。」
「…私の会社の仲間が、日本でプロジェクトを成功させてくれましたから。」
リヴァイのことである。
彼は日本の伝統加工品を世界に広める、ウェブデザインの統括を任されていた。
なぜ、エルヴィンがここにいるのか。
ザックレーは口火を切る。
「……まさか大学の講義中にお前に質問されるとは思わなかったよ。エルヴィン。」
「あの時は失礼いたしました。」
「…お前の幻想の続きはどうなっている。」
幻想とは。なんだろうか。
エルヴィンは黒いジャケットに青いシャツ、黒のズボン姿だった。
彼はザックレーに資料を手渡す。
それを黙読し、彼は笑いをこらえる。
「ククククク…お前も面白い男だな。」
「…いえ。幻想に過ぎませんから。」
「引き続き頼む。……金なら心配するな。」
エルヴィンは青い瞳を冷たく瞬かせる。
そして、彼は真顔で答える。
「…ありがとうございます。……DNAの解析は科学研究所に送りました。」
「あぁ、また結果が出れば連絡をくれ。」
「かしこまりました。」
エルヴィンは何故ここにいるのだろうか。
ザックレーの肘で隠れているが、
見える文字はこう書かれてあった。
「巨人の化石及び遺伝子解析の論文。」
そして、記されるいる文字には。
「記憶を持つ者達の遺伝子解析…エルディア人由来の遺伝子構成が見つかる。脊髄液入りワインの実験の結果…」
ショッキングな内容が記されていた。
「一名は死亡…もう1名は、異形」
そこまでしか目にすることは出来なかった。
ドイツで何が起ころうとしているのだろうか。
この資料をエルヴィンは見ているのか、見ていないのか。ただただ冷たい瞳でザックレーを見つめていた。
場所は変わり、自由の翼株式会社。
二階にある資料室にライナーとステラが、
うんざりした表情で、バイトをしていた。
バイトとして雇ってもらったのは良いが、
2日前からずっと資料の整理を任されている。
ステラに至ってはデータ入力をリヴァイから言い渡されて、目がドライアイになりかけて目薬を指している。
ライナーはファイリングをしながら、
私服で黒いシャツに白いシャツを腕まくりしている。ズボンは黒いもの。
ブルーライトカットの眼鏡姿のステラは、
ラフに一つに髪をまとめて、赤いカーディガンに黒いパンツ姿だった。
ライナーが話しかけてきた。
ここ3日ばかり、ずっと二人で仕事をしている。
「なぁ、先輩。」
「何?……ライナーさ。いつ、クリスタちゃんに告るの?」
「いきなりだな。……ユミルが邪魔なんだよ。」
会話しようにも、ガチャ…と黒い影が現れた。リヴァイだ。
彼は一時間に2回は見に来る。
見に来んなよ。と、ライナーとステラのデカちびコンビは思うが、顔に出さないで必死に仕事にとりかかる。
ライナーはちらりと、リヴァイの様子を見つめる。
(……絶対……この人先輩に触るよな。)
そう、リヴァイはさり気なくだが、ステラの体のどこかに触れる。本当にさりげなくなので、ライナーじゃなかったら気づかない。
今もまた、リヴァイはステラに難癖つける。
おでこをこづく。
「おぃ…そこの数字違うじゃねぇか。……お前の視力は役立たずなのか。」
「…3日もパソコン画面見っぱなしなんですよ!?」
「…黙れ……クビにされてぇようだな。」
キッとステラは椅子から立ち上がり、リヴァイの胸ぐらを掴み、ライナーを驚かせるが、すぐにやめた。
雇い主だし、姉やオルオや身内がいるのでやりにくいったらない。
「っコノヤロ…ッ……大変申し訳ありませんでした。……ライナー続きやろ。」
「あぁ。」
「テメェも…一々見てんじゃねぇよ。………お前………俺のケツにでも興味があるのか?……気持ち悪いッ……さっさと終わらせろ、クズ野郎。」
「すみません。」
もう、いやだ。お家に帰りたい。と、
土曜日の昼からライナーは涙目になる。
ステラはライナーを見かねて小声で謝る。
「ライナー…リヴァイさん言葉エグいよね。…ごめんね。……あれでも、全然切れてないから。ブチ切れだったら、私もアンタも死んでるよ。」
「苦労してるな。」
悟るようにステラはデータを入力していく。顧客名簿を入力しているのだ。
リヴァイが去った隙に、
ステラはライナーに聞いてみた。