進撃のリヴァイ
□第1話 悪魔の帰還
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ステラは専門学校の1年生で、
現在は冬休みである。
自転車をガレージに入れてからステラもようやく家に入る。
「ただいーまー!」
「おかえり。お昼ごはん讃岐うどんだけど?」
ドイツなのに讃岐うどん、彼女の母が日本人とドイツのハーフで実家からうどん好きの祖母らから大量に送られる。
ステラは軽く返事をする。
ソファーには父親もテレビを見ながら寛いでいた。
「うん。いいよー。あれ、お父さん仕事休みなんだ。」
「おかえり。リヴァイ君と一緒だったんだ。」
ラル家は基本的にとても緩い空気を出している。リヴァイは一旦部屋に戻っているようだ。
ステラによく似た母親が話しかけてきた。
2階から大声で呼ばれて一般家庭のうるささが懐かしい。
「リヴァイ君呼んできてー。」
「はーい。リヴァイさぁあん!うどんだってぇええええ!!」
「ッチ…うるせぇな。」
この騒がしさがリヴァイは嫌いじゃなかった。13歳のときにこの家に引き取られてきたが、馬鹿になるくらい穏やかで優しい時間だと彼は感じている。
彼は白い長袖と黒の自宅用のズボンに履き替えて下に降りてくる。
階段には白い美しい毛並みのボルゾイの写真が飾られていた。
彼はリビングに入るとのほほんと父親が、
挨拶してくる。
「お疲れ様。日本どうだった?おみやげある?!」
「うるせぇな。…お前は相変わらず、その爆発頭と脳みそもおめでたいんだな。」
「だってヒヨコちゃん頼んでたじゃん。」
ラル家父くせっ毛である。
幸い娘二人には遺伝していない。
リヴァイさんの毒舌には決して屈しない、母親とは散々やりあって一度ステラの母親から本気で殴られたことがある。
ステラは台所で母親の料理の手伝いを
しながら呆れたようにリヴァイを見た。
「リヴァイさん相変わらずだね。」
「まぁ、元気そうじゃない。でも、いきなり帰ってくるっていうからいつもの材料しかないわねぇ。」
「…食えればいい。」
リヴァイは父親から妙に離れた場所のダイニングテーブルの椅子に座り、
図々しい態度で、ステラに指図する。
「おぃ。」
「あーはぃはい。分かってますって!…モラハラクソ野郎。」
ステラが、ぼそっと毒づくとひよこ饅頭の一つを投げてきた。
ひよこが気の毒だ。。
母親に窘められて仕方なく、紅茶の準備をしている。
そしてようやく出来上がったごく平凡な讃岐うどん【冷凍】。
ステラの好きな言葉は平穏無事で、
当たり前の日常こそが宝物だとおもっている。
あのゴロツキ兵長と呼ばれた男が
一般家庭の食卓に着いているという、
異様な現場だが、リヴァイも割り箸を割って讃岐うどんをこの世で一番不味そうな表情で見つめている。
リヴァイは人前では決して食べたがらないので、皆はあまり気にしていない。
皆が食べ終わってから彼は食べる。
ステラは指摘しないが、無神経なのか
父親が話しかけてくる。
「リヴァイ君…まだそれ治らないんだね。」
「お父さん…そうゆうのウザいよ。早く食べて。」
すかさずステラが父親に一番有効打の台詞を食べながら伝える。しゅんとした顔で、彼はうどんをすする。
人前であまり食事をとりたがらないのには
リヴァイの壮絶な過去があるのだが、
まだ、それは言えない。
リヴァイはチラッとステラを見つめて
眼を緩める。