進撃のリヴァイ

□第8話 涙、飛び立つ。
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真面目な性格のステラはけじめとして、一人暮らしすることも考えて打ち明ける。


「私一人暮らししてみようと思ってるんだ。」

「えっ?初耳だけど?」

「お姉ちゃんに言ったら、勘当される。全部リヴァイさんに頼るのは嫌なんだ、だからずっとお金ためてた。…いつか自立できるようにってお年玉も使わなかった。」


ステラは続けた。

「…家賃相場も調べてある。私の貯金で学生なら5万代でも補助金出るかもしれないし。」

「それ、リヴァイ君に言ってみた?」

「まだ。多分全否定される。よく喋るな豚野郎って言われて終わると思う。」

全否定の男、リヴァイ。

母親は甘えん坊で泣き虫だった彼女が、
そこまで思い詰めているのかと、感じる。
そこで、提案してみた。

「ねぇ、リコちゃんに相談してみたら?」

「え?…リコ先輩に?」

「彼女の職場警察でしょ?…確か、広報課の事務のアルバイト募集してたみたいよ。…HP見てみなさいよ。」


ステラは先輩のリコの職場のHPを確認してみる。すると、学生可能の事務のアルバイトが募集されていた。

彼女は真顔で呟いた。

「リコ先輩に連絡してみる。………今のバレンタインのバイトが終わったらここで働けたら、家賃払えるかもしれない。」


ステラの眼に輝きが戻る。
母親はこう告げた。

「…ステラ……利用できるものは利用していいんだからね。…もし、リヴァイ君に却下されて、同棲することになっても、卑下しなくていい。……あの馬鹿が勝手にマンションまで買ってんだから、利用するもの、利用すればいいんだから!」

「う、うん…。」


母親くらいに気が強ければなぁと、ステラは思った。この母はむかし田舎で勝手に許嫁を選ばれたが、相手を殴ってたまたまサッカー場で出会った夫と駆け落ちし、ペトラを授かった。


(……お母さん強いなぁ…婚約者ぶん殴ってないよな。)

つい呟いて、母に頬を抓られる。


「…伊達に婚約破棄してないよね。」

「やめなさい。」

「お姉ちゃんは、元気にしてる?…本当に仕事で会わないからさ。」

「…大変みたいねぇ。…そういえばオルオって会ってる?」

「オルオ…見てない。」


最近出てこないオルオ。
彼は今、戸惑っていた。
ズタボロの顔色が悪いグンタ、通常通りのリヴァイに挟まれて困惑している。


(………な、何だよこの空気……どうなってんだよ。)


オルオはクライアント先の帰り道で、車を運転しながら、隣のグンタに肘打ちする。


「おぃ、グンタ…」

「……ぇ?」

「お前最近どうしたんだよ。今日も、クライアント怒らせたろ。…なんだよ。あの物言い。お前らしくないな。」


「す、すまん…。…気をつける。」


リヴァイはブルーライトカットの眼鏡をかけて、パソコンを打ち込んでいる。
グンタの夢に出てきた格好に近い服装をしてきたので、彼は心がボキボキになった。

茶色のジャケットに黒いハイネックのセーター姿で非常におしゃれ。

対して自分は、紺のスーツ。
取り敢えず紺。地味。


リヴァイはチラッとグンタを見て、
一言告げる。


「グンタ…、今日は帰れ。」

「そ、そんな!…今からやり直します!申し訳ありません。」

「…注意力散漫だ。使えねぇ。クソでも出ねぇなら出してこい。」


心配なので帰れ。に受け取れなくて、グンタは更に落ち込む。
そして悔しさに追い詰められる。


(……誰のせいでこんな事になってんだよ。)

グンタはオルオに謝り、途中で車を降りることになる。

「オルオ……悪い…部長の仰るように、今日はもう、ここで帰るよ。」

「お、おぅ。…無理すんなよ。…なぁ、グンタ。」


事情を知らないオルオ、グンタに追い打ちをかける。


「ステラのことで悩んでたら、俺に言えよ!」


頭をガツンと車にぶつけた。
リヴァイはそれを静かに見ているが。全く顔に出さない。

ただ、ある程度予想はついていて
パソコンのスケジュール表にこう記した。

「……本日…18時直帰……。」


ステラに会う。
彼はグンタの心がズタボロになっていることが自分が悪いことも全て承知している。


(………グンタ……お前は行動が遅かった………)

もし、高校時代にお前が動いたら
結果は違ったかもしれねぇが。
それでも、俺は先に手を打っていた。


と、静かにパソコンを打ち込む。
あの内乱で全て失った。
欲しいと思ったモノは、どんなことをしても、恨まれても手に入れる。

リヴァイはそう決めていた。
二度死んだ彼は。2度生き返りようやく手に入れたあの存在。


時刻は流れて午後。
ステラは学校が終わり、駐輪場に居た。

彼は時間があるときは迎えに行くが、
忙しい時はGPSをつけさせろと交渉して、
それで落ち着いた。

スマホを見るとリヴァイから。

ピロン「…会えるか?」

「えっ?今日の夜?」

ステラは顔をしかめる。
平日は会わないように、お互い決めたのに。と、彼女は首を傾げてラインする。

「何かありましたか?」

「面を貸せ。」


どうみても脅しの文面に、もう笑ってしまう。バイトの方は週に3.4日させてもらっていて今日は休みだった。

ステラは自分で作ったパワーポイントの資料をリュックに秘めており、リヴァイに提案する。


「私もリヴァイさんにご提示したいことがあって、プレゼン資料作りました。」

リヴァイは既読して、目を細める。
アイツ何かまたやらかす気かと、面白くなる。
彼は食事休憩中に、オルオに憧れの眼差しを向けられながら気怠そうに返事をする。

「了解だ。」
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