long (Marco)

□弍
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「マルコさん、ご飯できましたよ」

声をかけてキッチンの横にあるテーブルにパスタとサラダ、チーズの盛り合わせを並べ、椅子を勧めた。

私は食事済みだったのでウイスキーを炭酸で割る。それを横目で見ているのに気付き


「良かったら呑みます?安物ですけど」

「ありがとよい。もらうよい。」


同じ様にハイボールにしようとしたらロックでいいとの事。お気に入りの丸い氷を入れた。ロックグラスがないのでお水や麦茶を飲むときに使うだけれども。


マルコさんはそれを無言で受け取り、目の前のパスタを睨んでいた。


「毒なんて入ってないですよ?お口に合うかわかりませんが。有り合わせなので」

わざとらしくにっこり微笑んで、乾杯とグラスを傾けたら目を合わせずに乾杯はしてくれた。



「そういやぁお前、名前は?」

「名無しさんです。」

「一人で住んでんのかい?」

「ふうと2人暮らしですね」

「わん♪」


それは一人暮らしというもんだろう。と顔に書いてありそうな表情をするマルコさんにわざとらしく


「お口にあいました?」
と聞くと「いけるよい。」とまだ警戒心を飛ばしながら答えてくれた。




一通り食べ終わり、2杯目のグラスを空にした頃、彼から切って出た。



「さっきの話の続きを聞こうじゃねえか。名無しさん。」


その鋭い眼差しはとても冷たくて。まだ警戒されている事が嫌でも伝わって来た。





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