long (Marco)

□漆
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あれから週末はどっぷりとワンピースを観続けて、週明けには頂上戦争まで進んでいた。


ちょっと気晴らしにと一緒に朝晩犬の散歩を一緒にする時と、お風呂の時間以外はマルコはテレビにかじりついている。


その間私は休みだったこともあって家事を済ませ、平日のおかずの作り置きを済ましていた。


「マルコー。じゃ行ってくるね!ご飯は冷蔵庫にあるから食べてね」

「ありがとよぃ。レンジでチンすればいいんだろぃ?」


頭のいいマルコはここはきてレンジとテレビの使い方はマスターしたっぽい。ついでに掃除機と洗濯機の使い方も教えてしまいたい。


「ふうの散歩もしとくかよぃ?それとも帰ってから一緒にいくか?」

「鍵、渡してないよね?帰ってから行こう?」

「よい」



テレビを観ながらの会話。だいぶ距離感は縮んだ気がしてたのは気のせいだろうか?世の夫婦は旦那のそういう態度にイラつくんだろうな。なんてよくわからないことを思いながら家を後にした。



***



ピロリン


仕事中携帯が鳴る。
メールを開くと彼からだった。

「今晩会える?21時にいつものところで。」


彼といえど妻子持ち。いわば不倫だ。
もう終わらせてしまいたい。5年も続いている曖昧な関係。

2〜3ヶ月に一回、一方的に来る連絡。私からは連絡する事はここ数年既にない。
会ってしまえばまた身体を重ねる事になる。


愛はあるか。。。そんなの既にない気もする。私は諦めてるから。
何度となくもうやめよう?と言っても、またしれっと来るメール。私も対外馬鹿だ。


マルコいるしな。


いつも外で待ち合わせしてから彼は家に来る。そして明け方帰るのだ。
マルコがいるのにうちに呼ぶ訳にもいかないし、家は無理だと言えば問い詰められるのは確実で。


「めんどくさい。。。」


ぼそっと呟く。だけどマルコが来る前は寂しいのも否めなくてずるずると続いている関係。



『今日は無理。もうやめよう』



送信ボタンを押すのを幾度となく躊躇って、数時間後にようやく送信ボタンを押しマルコとふうのいる家へと車を走らせた。


自分勝手なのはお互い様だ、と思う。


今の私にはそういう関係ではないとしてもマルコが家にいる。数日でそれがなぜか暖かくもあり、ずっと一人ぼっちだった自分には充分過ぎる陽だまりとなっていた。


「ちゃんと別れるいいきっかけだったな。」



そんな事を1人呟いた。いつもの帰り道。
この後、あんな事になるなんて思ってもいなかった。



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