long (Marco)
□7.5
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マルコside
ここんとこ寝ずにずっとテレビとやらを観ていた。
エースの弟はおもしれぇ。一度会って見たいもんだ。
名無しさんが言っていた「変えたい未来」とやらも理解した。サッチは死なせねぇ。エースの処刑、名無しさんの言葉を思うとこの先も良い事が待ってる気がしねえ。
まずはこの世界で未来に訪れるであろう状況の理解をする。
俺は親父の元へ還る。還る方法も探さねえとならねえ。
ふと、この家の主を思う。
いきなり現れて、衣食住を与えて、未来を変える手伝いをしたいとは。中々面白い女だと思う。
仕事は何をしてるのか分からねえが、帰ってきてからも夕飯だ、犬の散歩だ、掃除だ洗濯だと休まず働く。よく動く働く女だと思う。
名無しさんが怪我をした時、掴んだ手首の細さにどくんとした。女なんか散々触ってきた。前回の上陸以来だから一ヶ月は経とうとしてる。俺は溜まってるのか?
犬の散歩をしながら横に並ぶ。本当に小せえ。子どもと変わらねえ。そんな奴に俺、今養われてるのか。と考えると頭が上がらねえなと思った。
***
なんだかやたらと嫌な気配を感じる。相手は強くはねぇ。ただ、弱い奴ら特有の威圧感。己を強く見せるためのやつだ。
『そこの女はいい女だぜ。ヤリたいときにヤらせてくれるし、金もかからない。面倒な事も言ってこないし縛られることもない。せいぜい飽きられない様に頑張れよ。』
俺を名無しさんの男と勘違いしている様だが、どっかのクソみたいな海賊の捨て台詞かと思った。
が、そいつの指す女って名無しさんのことか?
別にそんなつもりで一緒にいる訳じゃねえ。
名無しさんからも何かを求められたこともねえ。
あぁ。。。よぃ。
なんかわかっちまった。
お前。。。
言い返さない、取り乱したりもしないって事はそういうことかよぃ。
『マルコも試してみる?』
そんな事言わせたくねぇ!咄嗟に唇を自分の唇で塞いだ。
こいつは不器用だ。
欲しいものを欲しいと、好きな人に好きと素直に言えねえヤツだ。
本当はあの馬鹿男に惚れてたんだろう。でも自分のエゴを出して嫌われるより、相手にとって都合良く、そばに居られる手段を選んだんだろう。
自己肯定感が低いんだ。
それでいて泣くのを必死に我慢して笑っている。
そういやぁこいつの笑ってない顔思い出せねえよぃ。
それくらい普通に、仮面の様に笑顔張り付けて生きてるんだと思うと無性に泣かせてみたいと思った俺は、どうやら歪んでやがる。
泣かせてみたい。鳴かせてみたい。
強がってる女は好きだ。
でも海賊なら欲しいものは欲しいと言え。奪え!
海賊ではない名無しさんに求めても仕方がないかもしれないが、そんな思考が頭を過った。
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