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□夜風
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寝付けなくて甲板に出る。
ひんやりとした夜風が気持ちいい。
満天の星空を眺めながら紫煙を燻らしていると、ふと奥に小さな人影を見つけた。
俺は気配を消しながらそっと近づき
後ろから抱きしめた。
「!!!びっくりしたぁ」
俺はクツクツと思わず声が漏れる。
思った通りの反応だ。
「暖かい海域とは言え、お前ぇさんには身体がこたえるよ。こんなに冷えてらぁ。」
いつからいるんだい?
その表情を覗き込みながら問うと
「星が綺麗で見惚れてました」
柔らかな笑顔を浮かべてそんな台詞を吐きやがる。
後ろから回していた腕にちょっと力を入れてぎゅっと抱き寄せ、耳元で俺は囁く様に言葉を紡いだ。
「お前ぇさんの方が綺麗だ」
悪戯が過ぎたか?
耳まで赤くなるお前ぇさんをずっと。
いつまでもこうして腕に閉じ込めておきたい
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