long (Marco)番外編
□陽だまり
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今日も1番隊の隊長は忙しいらしく朝ごはんを食べてから合ってない。
私は覚えたての文字の復習も兼ねてマルコから借りた本を持って甲板の後ろに向かった。
「ーーーーーよい。」
マルコの声が聞こえて声の方へ視線を向けるとナースのエミリが仲良さげに話をしている。エミリは若いしスタイルは抜群だし美人で、女性の私も惚れそうなくらいかわいい。やっぱ男の人って若い女の子の方が好きだよな。
マルコと何を話してるんだろう。
もやもやとした気持ちが湧き出てくると止まらなくて、声がした方向と逆の方向へ歩きだした。
人影のいないのを確認して甲板に腰を下ろす。別に人が居ても良いはずなんだけど今は一人になりたかった。
紙をめくる音と波の音、遠くで誰かが騒ぐ声が聞こえる。
本を読みながらさっきのエミリに向けるマルコの笑顔を思い出した。
マルコは彼女の事好きなのかなぁ。
エミリはどうなんだろう。勝ち目ないなぁ。エミリいい子だし。
そしたら私、同じ船に乗ってられるかな。
でも自分が誰でどこから来たのかもわからないし。唯一私を知ってくれているのがマルコであって。
。。。私はこの船以外で生きていけるのかなぁ。
「それは無理だろうよい。」
ふと手元の全く進んでいない本に影が落ちてきてマルコの声が聞こえた。
見上げると若干不機嫌そうなマルコが私を見下ろしている。
「なんかあったのか?」
「なにが?」
「声に出てたよい。この船以外で生きていけるのかってなんだよい。」
マルコが私の隣に腰を下ろして腕を腰に回して自分に引き寄せる。
「お前を船から下ろす気はねぇし、俺から離れることは認めねえよい。」
私はマルコを見上げるとまだ怪訝そうにしている。そんなマルコに微笑みかけた。苦笑いになってるかもだけど。
「降りないよ。降りないけどずっと私が隣にいたら、マルコの迷惑にならないかなって思ったの。」
言い終わるとマルコが驚いたような、少し呆れたような顔をしてこちらを覗き込んできた。
「なにバカなこと言ってやがる。迷惑な訳ねえだろ。」
そのままちゅっと降ってきた唇。
「お前が俺から離れたら俺が困るよい。きっと生きていけないのは俺の方だよい。」
「えーーー。マルコもてそうだし、私よりいい女の人いっぱい隣に置いておけばーーー」
言い終わる前に唇を塞がれる。2度目のそれは唇を割ってきて舌が絡めとられる。甘く痺れてぞくぞくする。マルコの胸元のシャツをギュッと握ると名残惜しそうに離れた唇と細められた瞳が色っぽい。
「こんなオッサンもてねえよ。」
「。。。ナースの子たちも?」
「残念ながらなんもねえ。」
腰に回されていた腕が膝裏に回るとひょいっと持ち上げられ、座るマルコの足の間に下された。後ろからぎゅっと抱きしめながら私の首筋に顔を埋めてくる。
「名無しさんの匂いがしねえ、この温もりがねえとかあり得ねえんだよい。俺はお前しか欲しくねえ。」
ちゅっとワザと音をたてながら耳たぶ、首の後ろにキスを落としていくマルコに私もぴくりと感じてしまう。
腰を引き寄せられると背中に硬いものがあたった。
「名無しさんとはこうしてるだけで体がガキみてぇに反応しちまう。好きだから勃つしヤりたくなる。」
3度目の口付けは深く甘く溶けてしまいそうになった。
コトリ、と手元の本が甲板に落ちたけどもうそれすらどうでも良くなるくらいで。
「俺はお前しか見えてねえってことだよい。だから俺から離れようなんて考えんな。」
ちょっと前まで聞こえていた音全てが遠くに聞こえるくらい、今私はマルコしか見えてないみたい。
「ずっとそばに置いてね。」
そう小さく呟くと答えの代わりにぎゅうっと強く後ろから抱きしめられた。
波の音と潮の香りとマルコの匂い。
この陽だまりの様な場所をずっとずっと一緒に守っていきたいと思った。
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