long (Marco)2

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「名無しさんちゃん、ちょっと寄っていいか?」

「もちろん。サッチの買付けメインなんだからどこでもいいよ。」


サッチと初めて買付けに出かけたけど、やっぱコックさんなんだなぁと改めて思う。

食材のチェックや見慣れない物の調理法を書き出したり、後は日持ちするかしないか等事細かに聞いている。そうやって私たちの日々のご飯を守ってくれてるんだなぁと思うと無意識に笑顔になっていた。


「じゃあ親父、これとこれとこれ、10ケースずつとこっちは20ケースな。」

「毎度。明日の昼までには船の方へ運んでおきます。」


そして自ら運ぶ事なく船へと配達してくれるこのシステム本当にすごいと思った。


「悪いな。付き合わせちまって。」


ニカっと笑うサッチがさっきまでの真面目な雰囲気とうって変わって少しあどけなくて可愛いと思った。


「この量運ぶとなると大変だから、本当に配達システム楽でいいよね。」

「まあな。店によってなんだけどよ。運んでもらえねえところはみんなで運べばなんとでもなるしな。」


なるほど。配達システムは全てにおいてじゃないのか。じゃあもしかしてもしかすると。


「サッチ、今日は配達してくれる店だけ選んで寄ってるって事?」


横に並んで歩くサッチを見上げながら気になった事を口にすると、頬をポリポリかきながらあーとかうーとか言ってる。
本当うちの船のおっさん方はお気遣い紳士だ。


「まあ、次の店は配達ねぇけどな。着いたぜ?」

「サッチ、ここは食料売ってないと思うよ?」


小物か多いどちらかというと女子が好みそうな雑貨屋さんの前でサッチが止まった。不思議に思ってまたまたサッチを見上げていると


「約束したろ?名無しさんちゃんサイズの食器揃えようって。」


ウインク付きでそうサッチは私に告げると中へと入っていってあれでもねぇこれでもねえって物色しだした。


私も後からついていきながら何気なく店内を見ていると綺麗な蒼が目に止まった。

白ベースに波を模っているのか流れるような蒼の線が入っている。下から上へと向かう曲線がふとマルコの羽の様な感じがした。


「お。いいの見つけたじゃん。丁度セットになってるしこれにすっか?」

「いや、もっとシンプルで安いのでいいよ。普段使いだし。」

「いいのいいの。俺っちが名無しさんちゃんにプレゼントしたいんだから。俺から贈らせて?」


あれよあれよという間に箱に入れられサッチはお会計まで済ませてしまった。


「サッチありがとう。私持つよ!」

「いいのいいの。俺っち女の子には荷物持たせない主義なの。今日はとことん俺に甘えていいんだぜ?それよりなんか飯食う?」

「じゃあせめてご飯奢らせて!サッチ何食べたい?」


名無しさんちゃんは優しいなぁ。って言いながら店を探すサッチの背中を見てサッチの方がよっぽど優しいよ。と言いかけてやめた。



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