long (Marco)2
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服を着て廊下へ出ると、壁にもたれかかり腕を組んで待っていたマルコが身体を起こし私に近づいて来た。
「ほら、行くよい。」
さりげなく手を取られそのまま手を繋いだまま廊下を歩く。
普段そんな事しないのに不思議に思って
マルコを見上げていると、口角をニヤッと上げて正面を見たままマルコが言った。
「停泊中で元々船員も少ねえし、こんな夜更じゃほとんど人もいねえ。見られねえよい。」
「そ、そうだけど。わっっ」
つまずいた私を、繋いでいた手をぐいっと自分に引き寄せて助けてくれた。
「ったく。危なっかしいやつだ。大人しくこのまま手ェ繋がれてろよい。」
「マルコ、ありがとう。」
そのまま食堂へと向かったけどマルコの言う通り誰ともすれ違うことはなかった。
食堂へ近づいていくと廊下に明かりが漏れている。
こんな時間だけど人が起きてるみたい。
マルコにエスコートされる様に中へと入るとそこにはサッチとイゾウがいて、何故かイゾウはこちらに銃口を向けていた。
「。。。イゾウ。それはなんだよい。」
「いや気にするな。お前さんが他の女にうつつを抜かして名無しさんを傷つけたって聞いてねぇ。ちょいとお灸を添えようかと」
「イゾウが言うと冗談に聞こえねぇから怖ぇよい。銃を下ろせ。」
「別にマルコは当たっても死にゃしねえ。大丈夫だ。」
「まあまあ、そんなとこに突っ立ってんのもなんだし?名無しさんちゃん飯食ってねぇだろ?こっち来いよ!なんか作ってくっから!」
いまだに不穏な空気の2人を無視してサッチが大きくこっちに手招きをしたので、マルコの手を離してサッチの元へと小走りに向かった。
「名無しさんちゃん何食いてえ?俺っちなんでも作ってやるぜ!」
「うーん。そうだなぁ。マルコはなに食べたい?」
振り返ってマルコに尋ねるとカチャリと音を立ててイゾウの銃の撃鉄が落とされた。
「マルコはこれが食いたいらしいから気にしなくていい。お姫ぃさんは好きなものをお食べよ。」
「はぁ。なんでそんなにお前がキレてやがる。。」
「へぇ。。。俺が何も知らねえと思ってんのか?サッチから話は聞いた。ここにお前さんが来なかったらこっちから殴り込みに行っていたところだ。」
なんか向こうが不穏な感じになってるんだけど、それを察してかサッチがこっちへと手招きしていた。
「そうだなぁ。すぐに出来るのはサンドイッチとかパスタかな。おつまみもできるけど、ちゃんと飯食ってほしいしなぁ。ところで名無しさんちゃん。マルコと仲直りしたのか?」
サッチがキラキラとした笑顔をこっちへ向けているから。素直に答えることにした。
「ん。。じゃあパスタとサンドイッチ一人前ずつで。マルコと食べるよ。仲直りの印にね。」
笑顔でそう答えると私の頭をくしゃくしゃと撫でてから「任せろっての!」と言ってサッチは厨房へと消えていった。
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