long (Marco)2

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乾いた銃声が聞こえる直前、マルコが私を抱き寄せた。


私は頭が割れるかと思う程の頭痛を覚えたのも束の間、視線を銃声がした方向へと動かした。



「うわぁぁぁぁ!!お父さんーーー!!」


男の子の泣き声と目の前で倒れている男性。そして、それを見下ろしてなお引き金に指をかけているガタイの良い男がそこにいた。


「お前らここをどこだと思ってやがる。天下の白ひげ海賊団の縄張りだぞ?その俺らに逆らうと。。。どうなるかなんてガキでもわかるよなぁ?」



男の台詞を聞いてマルコがぴくりと動いたのがわかった。きっと私も同じ気持ちだ。



「名無しさん、大丈夫か?ちょっと悪いが。。。」

「うん。わかってる。私はあの男の子の所へ。」


一瞬だけギュッと私を抱く腕に力を入れてからスッと離れたマルコは銃を男の子に向けている男の前へと移動した。


私も立ち上がり少しクラクラする頭を押さえながら男の子と倒れている男性へと駆け寄った。


「お父さんに触るなぁ!」

「ごめんね。ちょっとみせて?」


倒れている男性の口元に頬を寄せるとまだ息があるのがわかる。撃たれていたのは左胸だけど銃弾が逸れていたみたいで助かった。でも、ぐったりとしている様子から一刻の猶予はないと思う。


「大丈夫、まだ生きてるなら助けられるから!私を信じて!」


私は泣いている男の子に声をかけてから血の流れる男性の胸元に両手を当てて紅い炎を出した。


炎が出た事でびっくりした男の子は私と男性を交互に見やり、やがて血が流れるのが収まっていくのがわかったみたいで反対側から必死に抱きついて声をかけていた。


「お父さん!お父さん、しっかりして!起きて!!」


銃弾は貫通していたみたいでなんとか傷口を修復し、それでも顔色が戻るまで炎を出し続けていると閉じていた瞳がゆっくりと開いて私はふうっとため息をついた。


「サム。。。私は一体。。。」

「お父さーん!!良かったぁ!!」


わんわん泣く男の子を撫でながら起き上がろうとした男性に声をかけた。


「失った血までは治せないのでまだ安静にしててくださいね。」


私がそう言うと男の子が男性から離れて私の方へ駆け寄ってきた。


「あの。。。これ。。。」

「ん?なあに?小瓶?」


男の子は小さな小瓶を震える手で持っていて私に差し出してきた。
それを受け取ろうとした時、男の子は小瓶を後ろへ放り投げた。


「出来ないよ!お姉ちゃんはお父さんを助けてくれたのに!」


パリンっ


道路に当たって砕け散った小瓶から液体が飛び散った。
男の子は再び男性に駆け寄り何やら号泣している。そんな子どもをひたすら抱きしめて男性はなにかに謝っていた。


「すみません、すみません。。。」



「やっぱり一般人は使えないわね。私が直接やるわ。」



以前どこかで聞いた事が女性の声が背後からしたかと思うと左肩に激痛が走った。

一瞬で身体中が燃えるように熱くなる。
何が起こったのか頭で理解ができない。

マルコが私を呼んでいる。朦朧とする意識の中で女性の声がした方へ振り返るとそこにはサラシアさんがいた。





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