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□覚醒と友
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ミアは、クスクスと笑った。


「やめてよ、ゼンはお調子者でいつも私たちを引っ張ってくれるリーダーだったじゃん!」

子供の頃と変わらぬ笑顔を浮かべるミアを見て、ゼンはホッとした。


逆に、今まであそこまでリラックスした笑顔を浮かべたミアを見たことがない仲間たちは驚いていた。


「...いい顔だ」

ミホークもフッと笑った。


「私はゼンを恨んだりなんかしてないよ。謝ってくれれば、それでいいと思ってた。
だからこれからは一緒に...」

ゼンは、ミアに近寄り手を取った。

「良かった...。」


ゼンは、涙を浮かべた。

「もう二度と、友達に戻らないと思ってた...」


「ゼン....」


「でも、それは出来ないんだ...」


ゼンは、ミアの手を握った。


「君はもう、自由だ。」


そして、ミアに黒刀に触れさせた。



カッ...!


黒刀はまばゆい光を放った。



「なんだ...!」

「まぶっ...」



ミアも目を塞ぐと、ゼンの声だけが響いた。


「ありがとう。ミア。」



ス....




やがて光は収まると、邪気は無くなり黒い刀身がむき出しの刀だけが残っていた。


「...ゼン?」

ミアは辺りを見渡し、ゼンの姿を探した。


「ゼン!」


まさかと思い黒刀を見るが、黒刀は、佇むだけだ。


「...ミア、ゼンは集に支配されし魂だ。既に、肉体はなかった..。
お主が覚醒により黒刀を浄化したことでゼンの魂も浄化されたのじゃ」

セルムは、ミアの肩に手を置いた。

「お主に許してもらえるとは、思っとらんかったじゃろう...」


ミアは、呆然と立ち尽くした。

そして、空を見上げた。


雲ひとつない晴れた空は、ミアの自由を祝うようだった。

「ゼンも、自由になれたかな...」


「ああ...そうじゃろうて...」


ミアはゆっくりと息を吐き、懐かしい思い出を巡らせた。

仲間たちを振り返ると、みんなミアに笑いかけてくれる。


「ゼン...私は、あなたのおかげでこんな素敵な人たちと巡り会えたから...。
友達で、良かったよ」


今は亡き友に、思いを呟くのだった。


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