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□仲間
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「やっぱり...私、助けられてばっかりだね」

ミアは、昔から変わらぬミホークの優しさに感謝した。


「これより先、どうするつもりだ?」


「ミホークと一緒に帰って、力を磨きたい。
ゆっくりでいい、確実に自分の力を扱えるようになってから、この世界を旅して回りたい」


ミアは、月明かりでキラキラ輝く海を眺めた。


「道は険しいぞ?その力をものにするとなるとな」

「ミホークも、助けてくれるから大丈夫!」

「また勝手なことを...」

ミホークは呆れながらも、柔らかに微笑んで見せた。

いつのまにか、ここまで心を許す存在になったミアに、特別な感情を抱いていた。

それはミアも、同じだった。


「ゴースト娘も、今頃泣き喚いている頃だろうな」

「そういやペローナ!大丈夫かな」

「明日にはここを出るぞ」

「わかった...じゃあ、シャンクスたちともお別れかあ」

ミアは騒いでいるシャンクスたちを遠目で見ると、楽しそうにしている姿を見て思わず笑ってしまう。

「ホント、宴が好きだなああの人」

「ミアも楽しんで来るがいい。
海軍の様子を見張るのは、おれ一人で十分だ」


赤ワインを片手にミホークは見張りを買って出た。

「だーめ!ミホークもいこ!せっかくなんだから!」


ミアはミホークの手を引き、シャンクスたちの輪に戻った。


「あら、お爺さんなかなかやるわね」

「なんじゃこれしき、若いモンに負けてられんわい」

セラムはナミと呑み勝負をしていた。


フランキーやチョッパーも持ち芸を披露して楽しんでいた。

赤髪海賊団と麦わら海賊団はビンクスの酒を歌い、盛大な宴となった。







ポツポツと酔い潰れる者もいる中、酒を飲んでいないミアは、大人しく佇む黒刀・集の様子を見にきていた。

みんなとは少し離れた砂浜だ。

鞘も無く、残った邪気と己の覇気で黒く染まったその刀身は一体何人の命を刈り取ったのか。

大きな城や城下町も、今では嘘のように何も無い。

昔と変わらない、自然が残っているだけだ。


霧で霞まされたリマオ王国は、滅んだのだ。
海軍もいつ動き出すか分からない。
このことを知られれば、関わっていたシャンクスやルフィたちもさらに睨まれるだろう。

セルム以外の村人や国民は、ゼンと同じく魂だけで動いていた人たちだったらしい。
つまり、あの国、あの村の生き残りはセルムだけということになるのだった。


「なんじゃ、ここに残りたいとでもいうのか?」

セルムはミアに声をかけた。


「爺様。起きてたの?」

「あぁ、わしゃあ、これからここで一人で生きていくことになるからのぉ...不安もあるが、まあなんとかなるじゃろ」

「それじゃあ...私たちと一緒に」

「ならぬ。」


セルムは首を横に振った。


「ミア、お前さん鷹の目に惚れとるじゃろ」

「うっ..//」


ミアは否定できず、顔を赤く染めた。


「ハッハッハ!そんな顔せんでも分かっとるわい。
お前たちの邪魔もしたくないが、わしはこの島を出るつもりはないんじゃ。
ここで生き、ここで果てる。」


ミアは、複雑な気持ちになった。
植物はあれど、現状動物がいないこの島で生き残るのは難しいからだ。


「そんな顔をするなミア。
わしはそもそもこの歳で、長生きなどしようとは思わん...。いつかまた気が向いた時にここに来て、墓の1つでも作ってくれたらそれでええわい」

「って、それは求めるんだ」


セルムは笑い飛ばした。
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