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□終わりが始まり
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むせ返るような煙が立ち上る中で、一人の少女が走る。
その後ろを多数の海賊たちが追う。
今更、持っているものなんて「命」一つだというのに
どうして、「命」をここまで惜しむ・・?
少女はぴたりと立ち止まると、海賊たちに向き直った
「ねえ。私は、どこになんで生きてると思う?」
海賊たちは間の抜けたような顔をした後、皆でそろって噴き出した。
「ぷっ!!!ハハハハハハハハ」
「なんだよ嬢ちゃん!命乞いのつもりか?」
「へたくそだなあ?俺たちはお前の命一つ狙ってるだけで、別にほかの目的なんざねえんだよ」
「「ひまつぶしにな!」」
ああ、そうなんだ。
「ひまつぶし…。嫌いだな。その言葉は」
「ああん?」
少女は一歩踏み出し、
「自分が何者で、どんな生き方をしてきたかわかるくせに!!!
人生をひまつぶしなんかで埋め尽くして、それこそ生きてる意味なんてない!」
ぎゅっと目を瞑って叫んだ。
次の瞬間、自分の命が果てることを知った上で…。
しかし、なにも起こらない。
あたりはしん、として物音ひとつしなかった。
恐る恐る目を開けてみると、そこには海賊たちが倒れていた。
気絶しているようだ。
少女は全身の力が抜けて、その場に倒れこんだ。