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□目的
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「ミホーク…」
(今頃、何をしてるだろうか。
こんな昼間っから、まさかワインを飲んでるんじゃないだろうな。
いや、もしかしたら開放されたミホークも、どこかに行ってるのかな…。
だとしたら、海で彼に会うこともできるだろうか…。)
そんなことばかりを考えていた。
「結局、黒刀には触らせてもらえなかったな…」
一息ついてベンチに座っていると、トレーニングを終えたゾロが近づいてきた。
「ん?よお。」
ナミに言われたことなどなんでもないと思っているゾロは平然とミアの隣に座った。
「勝手に座らせてもらうぜ」
「ああ。構わない」
「…なんっかなあ」
自分の頭をくしゃくしゃとすると、ゾロは困ったように口を開いた
「お前、ほんっとに鷹の目に口調がそっくりだな。
お前の隣にいるだけで、なんかあいつのこと思い出しちまうよ」
「そんなに、似ているか?
ミホークは、もっと威厳があってクールで不愛想だが」
「んん…、まあそうだけどよ。
…そういや、お前が持ってるその刀。
あいつがくれた…って言ってたな。」
ミアは自分の刀に目をやると鞘ごと腰から抜いて、ゾロに見せた。
「この刀は、世界から消された刀だ。
この刀を扱える者が存在しないとして、この世の片隅で眠らされていたそうだ。
この刀の名前は、『青刀・風羅』
私を主に選んだ、大業物…もしくはそれ以上の代物だ。」
「ほぉ〜そりゃあ、大した刀だな。
俺も妖刀を一本持ってるが、こいつもなかなか大したもんでな、もしかしたら刀同士、息が合うかもしれねえな」
ゾロも自分の愛刀に手を置いて、刀の温度を確かめた。
「そうなのか。私は、この刀に助けられてばかりで、己の力の微弱さにいつも参っているよ」
「ん…まあ確かに、とりあえず体づくりからって風に見えるな。
筋力あんのか?お前」
一見して普通体形で、これと言って力があるようにも見えないミアの体を見渡した。
「それはミホークにも散々指摘されてきたが…。
私には、筋力は大してない…。
筋トレも、やってはいるが成果がなかなかでなくてな」
苦笑いを浮かべている顔を見ると、その苦労をなんとなく察した。
「じゃあ、今度手合わせ願うぜ。
あいつが育てた剣士ってのと、戦ってみてえ」
「構わないが、私は結構強かったりするんだぞ?」
自身にあふれた二人の表情は、同じ「世界一の剣豪」を目指す顔だった。