main-1-

□青刀・風羅
1ページ/7ページ



今日も1日が終わろうとしている。
ミアはサニー号のキッチンにあるソファでくつろいでいた。

「ミアちゃん。君のために特別なカプチーノ、作ってみたよ♡
どうぞ、召し上がれ♡♡」

「ありがとうサンジ...」

「あぁん!素っ気なくてでも大人っぽくなったミアちゃんも素敵だぁ♡」

そんなサンジを横目に、ロビンから借りた本を眺める。

伝説と言われた古い武器のことが書かれている文献だ。

(もしも私の刀が本当にこの世から消されたといわれる伝説の刀なら、この文献のどこかに記されていても、おかしくはない...)

そこにロビンがキッチンに入ってきた。

「あら、まだその本読んでるの?
面白いでしょ?この世に存在したかしていないか、定かでないものばかりだけど。
でも、本に記されるってことはきっと、一瞬でもこの世に存在したと私は考えているわ」

サンジから同じカプチーノを受け取ったロビンはミアのとなりに腰掛ける。

「私はこの本に記されているかもしれない武器を、持っているんだ」

「それって、その刀のことかしら」

キッチンのテーブルに立て掛けてある刀を見ながら、ロビンが問いかけた。

「ああ。その刀は、世間では名すら呼ばれることなく存在を消されたとされている刀らしい。
使い手にのみ、心を開き名を告げ、力を貸すという」

「つまり、ミアはその刀に選ばれたってことかしら」

「...まあ、そうなる」

そこにページの右下に写真付きで小さく記されたよく見た刀が目に留まった。

「...これだ」

ロビンも横から覗き込む。

しかし、やはり名前も記されることもなく、過去にこの一本の刀だけを生み出し刀鍛冶としての生涯を終えたとされている者のことが書かれていた。

そしてその刀は何百年間も誰にも扱えず、行方すら分からないままだと。


「あなた、その刀を持ってどこで?」

「ミホークがくれた。
私が動けるようになってから何処からか持ってきてくれたんだ」

「...そう。彼なら、伝説の武器と言われるもののありかを知っていても、何となく...わかる気がするわ」

「ねえねえロビンちゃんにミアちゅぁ〜ん。
いつまでも難しい話ししてないで、もっと楽しい話しなぁーい?
今日の晩御飯、何かリクエスト、ありますか?」

キリッとした表情でキッチンに立つ。

「サンジ。私は調べ物をしていると言ったろう?
私にとっては大切なことなんだ...。
それに、今の私は知りたいことが多すぎる..」

表情が曇ったミアを見て、サンジもギクリとそそくさと寄り添う

「ご、ごめんよぉ。
じゃあミアちゃんの元気が出るように、とびきり美味しい料理作ってあげるからねぇ!」

そういうと食材を漁り始めた。

「刀の名前は、聞き出すことはできたの?」

「...青刀・風羅(セイトウ・フウラ)
というらしい。この世に生まれてこの刀を抜けたのは、私だけだと言っていた。
ただ、名前を教えてくれた後は一切語りかけてくることはなかった。
だからこの刀について、他には何も分からない...」

「何を、知りたいの?」


少し黙って、ミアは言葉を続けた。

「武器に自分の力を制御されることを、どう思う?」

「....どういうことかしら」

ロビンも首をかしげる。


「優秀な剣士ならば、どの刀を使おうと相応に戦える。
だが私は、この刀でなければ鍔迫り合いすら出来ない。ただのか弱い女になる」

「それは、刀があなたに力を貸している、ということ?」

「それもそうだが、私自身に身についた力も、この刀に吸われているようで...」
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ