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□記憶の断片
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ミアの話し相手になろうと、ロビンとウソップは医務室にやってきていた。


「なあなあ、それで俺の親父とはいつ会ったんだ?」


ウキウキと心躍らせる。

「それが...よく覚えてなくてな。浮かんだ名前がヤソップだったんだ」


「それって、ルフィが麦わら帽子を預かってるっていう、赤髪海賊団の人たちよね?
ミア、どこかで会ったんじゃないかしら」


「うーん、何にせよ記憶を消されているからな。本当に断片的にしか覚えてないというか...」


「なんでもいいんだ!親父のこと教えてくれよぉ」

「とにかく元気そうだったのは覚えてる」

「で?他には!?」

目を輝かせるウソップに迫られるが、特にこれといった記憶がなくうーんと唸りを上げる。

「ウソップ、気になるのはわかるけど、彼女をあまり困らせないであげてちょうだい?」

「ん?あ、あぁそうだな、悪い」


「いや、私が話しだしたことだというのに、何も話せなくてすまない」

苦笑いを浮かべているところへ、ルフィがドタバタとドアを開ける。

「おーいロビン!これ、なんて書いてあるんだ?」

ルフィはミアの刀の鞘の部分を指差して、ロビンに差し出す。

「あら。刀にこんな文字が彫ってあるなんて珍しいわね」

「だろだろー?それ、ミアの刀なんだ!」

「ルフィ、私が寝込んでいるからといって勝手に持ち出すのは...」

「そうだぞルフィ!ゾロがいってたぞぉ?『刀は、剣士の命だ』ってな」

キメ顔(ゾロの真似)をしながらウソップはルフィを叱る。

「ぶっは!ウソップめっちゃゾロに似てるー!ウハハ!」


「これ、リマオって書いてあるわ。
何のことかしら」


「ん?リマオ?なんだぁそりゃ」

きょとーんと首を傾げていると、チョッパーが思い出して声を上げる。

「それ、確か大昔に実在したっていう一族の名前じゃねえか?
そこは医療技術も現在の医療に匹敵するほど栄えてたって聞いたことがある!
あとは、刀鍛冶が有名だって聞いたこともあるぞ!」


ミアはぼんやりと「リマオ」の土地の風景が頭をよぎった。

空を吹き抜ける風は爽やかで、自然とともにひっそりと暮らす。
和やかな毎日、修行に明け暮れる子供達....


「うっ...!」


ミアは頭痛に襲われ、頭を抱える。

「どうしたんだ!」

チョッパーが額に手を当てると


「すごい熱だ!すぐにさまさねぇと」

直ちに冷却セットを準備して、ミアの解熱を始める。

「すまねぇけどルフィたち、外で待っててくれねぇか?」

「あ、あぁ。」




パタン。


「『リマオ』って言葉が、何か引き金になってしまったのかしら」

ロビンは考え込む。


「反応からして、そうだろうな」

ウソップも同じように考え込んだ。


「あの子の中にある記憶の断片、大切なこともたくさん眠ってるみたいね。
今のところ分かってるのは、彼女が剣士だということ、
赤髪海賊団と関わりがあったこと、
それ以外の思い出がほとんど残っていないこと。ね。」


「忘れた記憶に触れるたびにあぁも発熱してたら、体が持たねえぞ?」

心配そうに医務室の窓をのぞいた。


「シャンクスか...会いてえなあ」


ルフィは遠くの海を見つめると、いつか必ず返すと約束した麦わら帽子を被り直した。

「ミアの記憶の断片、俺たちが集めてよ、あいつを助けてやろうな!」

ニッと笑うと、ルフィは船長らしい顔で水平線を見据えた。


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