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□男と女
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夜も更けた頃、看病をしていたゾロはミアの寝顔をじっと眺めていた。




「なんだ…この感覚は…」


ドクン…ドクン



と、響く鼓動の中に、燃え上がるような静かな想い。



ミホークが同じ船にいたときはもっと荒っぽいような、そんな感覚だった。



「俺は一体どうしちまったってんだ…」



拳を握り、やるせない思いを壁にぶつけようとしたとき、静かに眠るミアの顔をみて、その力をふっと抜いた。



「俺は負けねえ…剣の腕も、お前を想うこの気持ちも…」


自分の中に芽生えてしまった本音を、彼は受け止めることにした。









ガチャ…




そこに扉が開き、ミホークが帰ってきた。


「なんだロロノア。いたのか」


ミホークは帽子を脱ぎ、黒刀を下した。


「鷹の目…赤髪のシャンクスとは、話せたのか?」



「…ああ。」


一言だけ答えると、ミアの寝顔を見つめた。



「お前がいない間に、唯一の治療法が見つかった。
多少荒っぽいが、明日からその治療を開始するらしい」



「そうか…。ミアの身体が良くなるなら構わん」



「…おい鷹の目、てめぇはこいつを、「女」としてみてるのか?それとも、「弟子」としてみてるのか?」



ゾロは半ばケンカ腰に訪ねた。



「それを知ったところで、貴様に何の関係がある?」



ミホークも冷静に答えた。



二人の間に長い長い沈黙が続き、その結果ゾロが席を立った。



「もしもそうだってんなら、俺だって本気で行く。」


そう言い残し、医務室を後にした。




ミホークの頭に、シャンクスの言葉がよぎる。


『…お前も男だ。ミアは女だ。
男と女の関係になったとしても、守り抜く覚悟はあるのか?』


その言葉が、ミホーク自身を本気にさせる一言になってしまったことを、本人は気が付いていなかった。


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