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□過去
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「やれやれ…やっと見つけました。」
冷酷な笑顔を浮かべるその男は、水を操り街を次々と呑みこんでいった。
ザァアアアッ
横向きにした滝のように街を呑みこみ、多くの人々が巻き込まれた。
「何者だ!」
ミアは刀を抜き、その男に向き合った。
「ミア、あなたの存在は、国王により消されることが決定いたしました。
そして、決して情報を他言しないこと。
完全に捕らえられるまで、貴方の記憶はいただきます」
迫りくる水を斬り伏せようとするが、水に手首を捕まれ、あっさりと動きを封じられてしまう。
「貴様…!何者だ…!」
「私はリマオ王国騎士団団長。
王のためであるならば、何でも致す。」
パチンッ
指を鳴らすと、楽しかった出来事もうれしかった出来事も、薄れていた忌まわしい記憶も、
全てが遠のいていった。
そばを流れていた川の流れに巻き込まれ、ミアは流されていった。
目を覚ますとそこには、海賊たちがいた。
海賊たちは無差別に街の人たちを襲い、生き残っていたミアに目を付けた。
記憶のないミアは、戦う理由すらわからず。ただ闇雲に、もがいていた。
今更、持っているものなんて「命」一つだというのに
どうして、「命」をここまで惜しむ・・?
「ねえ。私は、どこになんで生きてると思う?」はぴたりと立ち止まると、海賊たちに向き直った。
そして、気が付いた時には、麦わらの一味の船に乗っていたのだ。