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□リマオ王国
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「私は破ってはならない掟を破り海へ出た。そのせいで村をも巻き込んだことは否定のしようがない...。
忌み嫌われ、同じ過ちを犯したと疑われても仕方がない」
ミアはぎゅっと拳を握った。
「それでも幼馴染のゼンだけは、ずっとそばで支え、笑い、共に強くあろうとしてくれた。
そのゼンに裏切られた。なんて無様な」
生に執着しきれないのは、唯一心から信頼していた人間に裏切られたことによる心の傷のせいだった。
ルフィたちやシャンクスたちに心の底から寄り添えないのは、そのトラウマによるものだ。
「人は都合のいいように嘘をつき人を売る。海賊なら尚更だ...。
私は、ここまで頑張ってくれるお前たちのことですら、心から信頼することができない!」
ミアはシャンクスの目を真っ直ぐに見た。
その瞳は憂いか悲しみか、悔しさか、はたまたもどかしさか...
様々な感情が入り混じっていた。
シャンクスは、ミアの頭に手を乗せた。
「なーに。そんな顔で鷹の目のところにいたのか?
そんなんじゃあ鷹の目がお前に付きっきりになっちまうのも分かる気がする」
クシャクシャと髪を撫で回すと、ニッと微笑んだ。
「俺はどんな理由があろうと、友達を傷つけるやつは許さない。
お前だって、俺たちの大切な仲間なんだ。じっとしてるわけにはいかない」
赤髪海賊団の船員たちは、ピンと背筋を伸ばした。
「ミア、お前が俺たちをどう思うかなんて関係ない。
だがな、俺たちはお前を裏切ったりはしない。この海賊旗に誓おう」
バタバタと風になびく三本線の傷を帯びた骸骨の旗は、今日も一層威厳を感じられた。