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□鷹の目
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真っ暗だ。


死、とはこのことを言うのだろうか。


全身が重く、何かに縛られているように感じられる。

痛い。

痛い。

鉛のように思い瞼を、開けることはできるだろうか?

もしできたら、また思い出を作れるだろうか。

2ページ目から。






「んっ…」

そこはまた、見知らぬ場所だった。
城のようなその雰囲気を放つ空間は、海賊船の中ではないこと、ましてや病院ではないことを物語っている。

「生きていたか」

低く落ち着いた声が聞こえる。

姿を確認したいのに、身体が言うことを聞かない。

「わた…しは」

「まだ動けんだろう。無理はするな。
黒刀の斬撃を受けて命を取り留めるとは」

歯を食いしばって頭を横に向けると、そこにはワインを飲みながらこちらを見ている男が一人いた。

その目は正に鷹。
猛禽類の鋭いまなざしが突き刺さった。

「た、鷹の目・・・!?」

私は驚きを隠せなかった。
あのときルフィたちを突如襲った張本人が、私を助けてくれた…?

そんなことをするような人情深い人にはとても見えない。

「どうして…」

一瞬間を置くと、ミホークはゆっくりとテーブルにグラスを置いた。

「暇つぶしだ」

脳裏をよぎる『暇つぶし』の言葉。

世の中には暇つぶしで、命を奪うものと救うものがいるんだなあなんて、朦朧とした意識の中で思った。

結局、ふっと糸が切れたようにそれきりまた意識を失ってしまった。
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