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□過去
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2人は島の砂浜へ移動すると、それぞれ距離をとった。
「言っとくけど、私は手加減できるほど強くないからよろしく」
ミアは目を光らせ構えた。
「おーおー、言うようになったな。構わないさ。全力で来い」
ミアは風羅を抜く。
青白く光る刀身が美しいその刀に、シャンクスも目を見張った。
「..いい刀じゃないか」
「そりゃどうも...っハッ!」
ガキィン!
ミアは目にも留まらぬ速さでシャンクスに斬りかかる。
シャンクスもいつ抜いたか、剣でその斬撃を受け止めた。
「随分と力押しだな」
「速さだって極めた」
シュッシュッと移動しながら様子を伺うミアとは裏腹に、シャンクスは正面を向いたままミアの動きを感じ取る。
(見聞色の覇気...?)
ミアも勘付くと、白い刀身の風羅を武装色で黒く染め、シャンクスの懐をめがけて振り下ろす。
「おっと...。武装色の覇気か...。
鷹の目に教わったのか」
「ペラペラと話してられる余裕があるなんて、舐められたもんだね!」
刀に込めていた力を一瞬緩め、相手の体勢を崩す。
その隙をついて、飛ぶ斬撃を放った。
「旋風!」
ゴオォ!
砂浜の砂が舞い上がり、竜巻が起こった。
間髪入れずその竜巻の中に突っ込む。
「これで...!」
ミアが突きを繰り出そうとした時、竜巻とは別の強い力に押し負け、浜辺に生えていた木に叩きつけられた。
「.....っ!!」
ミアが起こした竜巻は静かにかき消え、中から平然とした顔のシャンクスが現れた。
(まだ...足元にも及ばないと...そう言うのか!?私は...ミホークを守るために...もっと強くならなきゃいけないんだ...!)
痛む身体を起こし、刀を支えにして立ち上がる。
シャンクスは、その場から動かない。
これまでだ、という合図を掛けられる前に、攻撃を仕掛けなければ。
(こんなんじゃだめだ...相手が四皇だろうと、誰だろうと、勝たなきゃいけない時がくる...。)
風羅の刀身が白く戻りつつあるその数秒の間だった。
妙に冷たい風が吹いたような、そんな感覚にシャンクスも、船にいた仲間たちも感じた。
「...ん?」
シャンクスは何かを感じると剣を構える。
ザッ...
決して目を離した訳では無かった。
油断もしていない。
それなのに、数十メートル先にいたミアは、今。
切っ先を喉元へ突き立てようとしている。
「...!?」
ドゴォ!
シャンクスは咄嗟に右足でミアを蹴り飛ばした。
ドシャアッ!
先ほどの3倍程は吹っ飛んだろうか。
その光景に、赤髪海賊団の船員たちも息を呑んだ。
すると船員の数十人が倒れていた。
「...覇王色の...覇気...」
ミホークはポツリと呟いた。
シャンクスも何が起きたか判らず呆然としていた。
「何だ...今...」
沈黙が続くその空気の中、ベックマンが声をあげた。
「おい!ミアを手当てしてやれ!」
ハッとして一斉に皆が動き出す。
「やべえ!はやく!」
「どうなったんだ一体...」
船員たちは船上も砂浜も、バタバタと駆け回った。
ミホークはシャンクスに歩み寄った。
「あの娘の内なる力は限りない。
ただその力の使い方を、ミアはまだ知らんのだ」
シャンクスは剣を納めると、ミホークに振り返った。