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□リマオ王国
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パタン




借りている船室のドアを閉め、深いため息をついた。

記憶が戻ったことにより得られたのはより深い悲しみばかりで、どうすればいいかわからなくなりかけていた。


「風羅...私はお前を信用してもいいのか...?」


刀に手をかけ、そっと問いかける。


応答は、ない。


刀剣と意思疎通を図るのは、ミホークに初めて受け取った時以来だ。

そもそも刀剣と話せることなどあの時は知りもしなかった。

無意識のうちに自分の能力を封じていたために、今更話しかけてもなにも応えてくれない。


ドクン...!


「.....っ!!」


そのときだった。

全身に溢れるような力が漲ってきた。


弱々しかった腕も脚も、みるみる美しい筋肉がついていく。


「これは...」


そこに様子を伺いにミホークが部屋に入ってきた。


「ん?」


「ミホーク..」


ミホークもあまりの変化に目を見開いた。


「成る程」


風羅を握りしめたミアを見て、ミホークは察したようだった。


「己の力を取り戻したか」

「己の力..?」

ミアはキョトンとしている。

「刀に吸われていた自身の能力が戻った、と言ったところだろう」


「そうなのか..?こんなに身体が軽い」


風羅は変わらず、静かなままだ。


「風羅はなにも話してくれない。ただ唐突に力を返してくれた...。
ミホーク、一体どうなって...」

「それはお前自身にしかわかるまい..。」


ミホークは帽子を机に置くと、椅子に腰掛けた。


「記憶が戻っても分からないことが多すぎる...」


「まもなくリマオに着くらしいが、お前は狙われている。身の振り方に気をつけることだ」


「リマオに!?いつそんな...」

「聞いてないのか?そもそもリマオの場所の検討はついていた」

風羅のことも、今のリマオのことも知らないミアは、情報を少しでも多く得たかった。

「でもミホークやシャンクスと一緒にいると目立つよね?」

四皇と七武海というビッグな存在と考えると気が引ける。

対等に話しているつもりでも、実力は一切釣り合っていないのだ。


「お前を守るのにそんなことを気にする必要は皆無だ」

ミホークは脚を組み、肘をつくとミアに優しく微笑みかけた。
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