腐向け小説

□好きな人の好きな味
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【兄者視点】

突然だが、弟者のつくる卵焼きはいつも甘い。でも俺は知っている。弟者は甘い卵焼きより、甘くない卵焼き、だしまきの卵の方が好きだってことを。でも、弟者は俺に合わせてくれているみたいで、いつも弁当は甘い卵焼きだ。

昔、一緒に出掛けていた時にお弁当を作ってくれることがあった。二人別々の大きいお弁当箱に白米と色とりどりのおかずがある。二人で食べ始める。最初に食べ終わる俺はいつも弟のものをとるのだ。

“いっただきー。”

“ちょ、兄貴!”

“うわっ、なにこれ。甘くないじゃん。”

“文句言うなら食べるな!”

といって怒る弟者も可愛かった、という楽しい思い出なのだが。このときから、弟は甘い卵焼きではなくだし巻き卵を食べていた。
母は知っていたようであとから“知らなかったの?”と笑われたもんだ。

さて、今日は弟者が朝御飯の担当なのだが、一向に降りてこない。俺にも非がある。なので今、俺はキッチンに立っている。
さて、いう事もなくなってしまった。
今日は休みだし、早く起こすこともない。

久しぶりに甘いくない卵焼きでも食べさせてやるか。


⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯

その日にでた卵焼きは少し焦げているが美味しい卵焼きだったそうだ。


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