腐向け小説
□バラの花
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【弟者視点】
バラ病
それは、体からバラのとげがある茎が生え綺麗なバラを咲かせる病。
奇病と呼ばれほとんどの人は知らない。
俺も昨日までそうだった。
ある日、朝兄者の声が聞こえて起きた。兄者が近くにいて手からは血が流れていた。びっくりして駆け寄ろうとするも、体が重くて動かない。
「あ、兄者・・・大丈夫?」
「まあな。」
そういいながら手を押さえている。
やっと、血が止まりそうになったとき扉を開けておついちさんが入ってきた。
「なにして・・・・っ!?」
「おついちさん・・・俺どうなってる?」
「弟者くん・・・病院行こ!」
「俺が運転する。」
「わかった。弟者くん、動ける?」
おついちさんにそういわれて頑張って力を入れて見る。なんとか立ち上がれたところで自分の体を見てみる。すると、腕からバラの棘がある茎が生えていた。服には穴が開き、そこから茎が出ているといった感じだ。
「え・・・どういう・・・。」
「弟者くん、早く!」
おついちさんに急かされ、車に向かう。車の中には、絆創膏をつけた兄者が運転席にすでに座っていた。俺は、急にきた睡魔と戦いながら車に揺られながら病院に向かった。
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「○○さんー。」
「弟者くん、いこっか。」
「あ、うん。」
ふらふらと歩きながら室に入る。先生は俺の姿をみるなりなんなり、びっくりして固まってしまった。
先生はまじまじと見た後、俺に触れようと手を伸ばす。でも、その手は俺の周りにあるバラの茎によって弾き飛ばされてしまった。そして、棘があるから血が出ている。
「・・・これは、バラ病ですね。発病した人を守るように、触ろうとした相手を傷つけてしまいます。発病例も少なく、完治した例はないと思います。」
それからいろいろ聞いてわかったこと。
1、発病例が少なく、完治例はない。
2、発病した人を守るように相手を傷つける事
3、蕾ができてバラにたくさんの栄養分が吸収され、眠りが深くなる事
4、最後に大きなバラが咲き、発病した人は永遠に眠りについてしまう事
簡単にまとめるとこんな感じだ。有効な薬もないらしく、諦めて待つしかないのだという。
しょうがない、運が悪かったのだと思うしかない。家に戻ると、兄者とおついちさんが心配そうにこちらを見ている。
「弟者くん、眠いの?」
「うん・・・。」
目をこすりながら返事をする。正直、ほとんど頭が回っていない状態だ。
「おい、弟者。」
そういって、いつも通り手を差し出した兄者。やばいと思った瞬間、すでに遅かった。
兄者が「っ!」と言って、後ろにさがった。びっくりして、こちらから手を出してしまう。でも、触れる前におついちさんに制された。
「兄者、気を付けないと。」
「ああ、そうだったな。」
俺がやってしまった。自分で兄者を傷つけてしまったんだ。
俯いている俺に兄者は優しく笑ってくれる。
「大丈夫、お前のせいじゃない。」
そういって、絆創膏を張っていた。俺は自分の部屋に戻って強い睡魔に負け眠りについた。すこしだけ涙を流しながら。