腐向け小説
□囲んで囲んで
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【兄者視点】
俺は、兄者。俺には、弟の弟者がいる。
弟者は大事な家族だが、それ以上に俺の好きな奴だ。
まあ、この気持ちはあいつには言えない。
ただ、外堀を埋めに埋め俺だけを見ればいい。
おっつんには、気づかれているけどな。
「兄者ー、おはよ。」
「おう、おはよ。」
そういって弟者の頭をなでると、嬉しそうにでも恥ずかしそうに笑う。
いや、かわいすぎか!
「兄者?」
「・・・いや、なんでもない。」
そういって弟者の頭から手を離す。すこし寂しそうにしているところを見ると、なんか、うん。
「弟者、おっつんは?」
「もうすこししたらくるって。」
「了解。」
話ながらキッチンに立つ。弟者も手伝うといった様子で隣に立った。
ま、簡単なものだからいいんだけどな。
「兄者ー、卵できたよ!」
「よし、皿によそってくれ。」
「うん!」
ああ、素直にやる弟者かわいすぎだ。
弟者のことを狙っている女性は多い。でも、兄の俺はいつも近くにいることが出来る。
だから、いつも俺が近づけない様にとネットを張るのだ。
まあ、こいつは気づいてないだろうがな。
「兄者、食べないの?」
「今行く。」
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「弟者くん、おはようー。」
「おはよう、おついちさん。」
おついちさんは最初に俺たちを見たとき、俺の気持ちに気づいたらしい。気づかれても手を出さなければいいと思い、おっつんとは接してる。
たまに、世話になることもあるけれども。
「あれ、兄者やらないの?」
「やるやる。」
1人で考えていると、専用の部屋から弟者がひょこっと顔を覗かせた。
俺は、すこし笑ってその部屋に向かう。おついちさんは、すでに座っていて弟者も座った。
「・・・どうも、みなさんおはこんばんにちわ。弟者です!」
「兄者です」
「おついちでございます」
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
「終わったー。」
「じゃあ、俺は編集してくるね。」
「うん、お疲れ様。」
「弟者、もう一本撮っとくか。」
「撮ろ撮ろ!」
俺たちはおっつんが、編集に入ったところでもう一本撮ることにした。久しぶりの兄弟だということで、興奮している。
撮影は順調に進み、最後には俺たちで対戦することになった。しかも、勝った方にはご褒美付き。
褒美はもらいたいが、弟者が何をするのかも気になる。まあ、ここは譲らないけどな。
「ああー、負けた!」
「兄に勝とうなんざ、まだまだ早いわっ!」
「ええー、俺がなんかしなきゃダメじゃん。」
「おう。何にしようかね、弟者くん?」
「俺に聞くな!」
さてさて、何をしようかね。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
撮影が終わり、結局何もしないまま夜になってしまった。弟者は何も言わずに、今は夜飯を食べている。おついちさんは、すでに家に帰っている。
「兄者?」
「ん?」
「・・・・美味しくない?」
「いや、美味しいぞ。」
「・・・。」
しょぼーんとしてしまった。美味しくないわけではない。ただたんに、考え事をしていただけだ。
「ほら、お代わり。」
「・・・うん!」
弟者は嬉しそうに向かっていった。